Un orologio senza un ago
□夜の訪問者
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メリー号に戻ってきた彼らは準備が出来次第、晩飯をとった。
そして、騒がしい食事も終わり一段落ついた頃にナミが話を切り出す。
「で、これからどうするの?」
「ん?どうするって?」
マイペース船長は食後にもらったコーヒーをズズッと音を立てて飲みながら聞いた。
これには思わずナミもガクリと肩を落とす。
「あんたねー…」
「でも、この島にいちゃログポースは元には戻らねェんだろ?」
「問題はそこよ」
彼女は左手首につけているログポースを改めて見た。
それは相変わらずどこを指すわけもなく、クルクル回り続けている。
「たしか、この島にある時計の変な電波でおかしくなったんだっけ?」
食事中にお互いに情報交換をした彼ら。
サンジはナミに再度確認するかのように尋ねた。
「ええ。でもその“電波”の影響がこの島からどのくらいの距離にまで影響するのかはわからないのよね」
これでは迂闊に出航したとしても、無事にログポースが次の島を指すのかどうかも怪しいところ。
それに、
「そういえばおれたち、高波にのまれたんだよな?」
「そうなのよ」
そう、自分達は確かにあの時変な気候に遭遇し、高波に襲われた。
それなのに次に気がついたときにはこの不思議な島に全員がたどり着いたのだ。
これはただの偶然というわけにはいかない。
「それに、獣達がずっと『それを寄こせ』って…」
「あんたまた何か取ったんじゃないの?」
「だから何も取れなかったんだって!」
ルフィはすかさず反論する。
村長は凶暴な獣などいないと言っていたが、確かに自分達は何匹もの獣に追いかけられその勢いでゾロ達がいるあの家の前まで来たのだ。
そして、獣達が頻繁に言っていた「それ」が何なのかも結局わからないままでいる。
「ん〜。やっぱりまだ情報が足りないわね…」
情報不足のまま出航しても何か起きたときに対応できないかもしれない。
もう少しこの島で様子をみましょうか、というのが最終的なナミの提案だった。
「それがいい!!」
これにはルフィを始め、他のクルー達も同意する。
といっても数名の目的は他の――祭にあった。
聞くところによると明日から数日の間行われるという盛大な祭。
賑やかが大好きな彼らが見逃すわけにはいかない。密林から飛んできてあの時は状況が呑み込めていなかったルフィやチョッパーもそのことを改めて聞いた今はわくわくし続けている。
それにあれだけ大きな祭。もしかしたら掘り出し物が手に入るかもしれない。
「私ももっと島を調べてみたいのだけれど……」
そんな中名乗りを上げたのはロビン。
「ロビンもお祭に?」
「いいえ。私はその時計塔に興味があるの」
「あの?」
「ええ。おそらくそこに何かしら情報があるのではないかと思って」
時計塔。
それは島に上陸してからずっと引っかかっていた存在。
一時はそこに行こうとしたルフィ達だったが、結局実際に時計塔には行くことはなかったのだ。
密林も含めやはりあそこは何かしら怪しいとみて間違いない。
「でも、あの村長があそこには近づくなって――」
「あら。私達は海賊よ」
そんなことを気にしていたらキリがない。というようにウソップの言葉をロビンはその一言で済ませた。
たしかに、この村の住民ではない自分達はそこまで村のしきたりとやらに付き合う義理はない。
その通りといえばその通りで。
「そうだなァ…もっとあそこで冒険もしてェよなー」
もう一方で船長もそんなことを呟いた。
彼的にはどうやら今日の騒動だけでは物足りないらしい。
どうなってもしらねェぞ。とウソップはビクビクしながら言うのだったが、それにひやりと汗をかいたのはチョッパーだけだった。
「そうね。あと今のうちに調達もしちゃいたいから、明日はいくつかに分かれて行動しましょ」
こうしてまとめ役のナミを中心に明日の行動の計画が立てられた。
若干数名反論した者もいたが、そこは力でねじ伏せられたというのは……ここだけの話。
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