Un orologio senza un ago
□狂獣
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「……!そうか!」
何かを閃いたのか。ルフィはパッと顔をあげるとサンジとチョッパーよりも速く、速く先を駆け抜けて、ずっと遠くの方にある2本の木を腕を最大限にまで伸ばして掴んだ。
パチンコの原理である。
「おい!二人とも掴まれ!!」
「掴まるつったっておまえ……」
「どうする気だ?」
「一気に飛ぶんだ!!時計塔まで!!」
「「?」」
ルフィの言動にいまいちついていけない2人。
しかし、現状はそうは言ってられない。
ガォォォォ!!!!!
そうこうしているうちに、獣達の距離はさらに縮まり先頭のやつらは、全身を使って飛び掛かってきた。
「きたァ!!」
もうこの際いろいろと言っていられない。
サンジとチョッパーは獣達が襲い掛かってくるその寸前で、ルフィに掴まり
「いくぞ!!ゴムゴムの……」
ガルゥァァァァ!!!!!
「ロケット!!!!」
バンッ!!!!
間一髪。
ルフィ達がさっきまでいた地点に獣達が爪をたてて着地したよりもわずかに早く、彼らはゴムの反動で遠くの方に飛んでいった。
これでは獣達も追いかけようにも、相手を見失ってはそれが困難になってしまう。獣はその鋭い目つきでただただ遠くの空を仰ぐだけだった。
2本の木は大袈裟に揺れる。
それでも木葉1枚舞い落ちない。
グルル……
「あーあ。逃げられちゃったか」
そして、ルフィ達は知らない。
悔しそうに低いうめき声をあげている獣の群れの中。
草陰から出てきた一人の人間が獣を手慣れたように扱い、そうため息をもらしたことを……。
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