Un orologio senza un ago
□導かれる船
3ページ/3ページ
「ちょっと!!どういうこと!?」
「ワケがわからない」と言いたそうにオレンジ髪の航海士、ナミが叫ぶ。
その原因ともなるのが…現在の状況。
空の様子は相変わらずの快晴。
しかし、波は打って変わって荒狂っている状況。おまけに前方には巨大なサイクロンが迫っている。
「おれたちだってわからねェよォ〜」
応答したチョッパーは半泣きになりながらも船体にしがみつくのがやっとといった感じだ。
「ナミは気づいてなかったのか?」
以前、高熱を出していた時でさえも航海士であるナミは微かな風の変化を読み取り、フラフラな状態でも見事にサイクロンから逃れたこともある。
チョッパーが知っている限りでは、空島に行くときだってその後だって無事に乗り越えたりもした。
そんな彼女が何故現状に対応しきれていないのか…。
しかし、ナミはそういう意味とは違う意味で顔をしかめていた。
「変なのよ」
「え?」
ナミはじっと、荒れていると波と確実に近づいているサイクロンとを睨んだ。
(風も気候も…全く変化がないのに…なんで?)
「航海士さん、考えている時間はなさそうよ」
彼女の隣でそう言うのは黒髪の考古学者、ロビン。
「ええ、それはわかってるんだけど……」
ザバーッ
と、船体がグラっと大きく揺れて海水が船へと入り込んできた。
「キャー」
「ナミさん!!」
「だ、大丈夫。平気」
体勢を崩したナミはとっさにロビンの能力によって支えられて無事だった。
彼女はロビンにありがと、とお礼を言うとウソップ!!と先ほどの揺れで自分もグラグラと頭を回しながら舵を操縦しているウソップを呼んだ。
「お……おう!」
「ひとまず、九時の方向へ舵をきって!!」
「よ、よし、わかった!!」
ウソップはひとつ頭を左右に振り、我に返るとおもいっきり舵を掴んで動かした。
とりあえずまずは目の前のサイクロンを避けることが先決だ。
「でも、避けきれるかしら……」
ナミが不安そうに呟いた、その時
「…………嘘だろ…」
彼女の呟きよりももっと明確で、絶望にも似た嘆きが後ろの方で聞こえた。
「か…舵が…きかねェ……」
「え!!!?」
慌てて振り返るナミ。
そこには、声と同じように顔を青くさせながら、それでも舵をなんとか動かそうとしているウソップの姿。
しかし、いくら一生懸命だろうとなんだろうと舵はピクリとも動かなければ音も立てない。
スッと羊頭の舵棒がまっすぐに伸びているだけだ。
「え、なんで…」
その光景にナミは背筋が凍るような感覚を覚え、流石のロビンも冷や汗をかいている。
そんな事態を遠くから見ていたゾロはチッと小さく舌打ちをしながら急いでウソップの元へと向かった。
「おい、しっかりしろ」
自分も手伝うから、とはあえて言わなかったがそのままゾロは、目が覚めたようにハッとなったウソップと一緒に舵を動かそうとした。
が、
いくらあのゾロが加わっても舵はいまだピクリとも動かない。
まるで船自体…いや、この波全てがそれを拒むような――
「ナミさん!!サイクロンが…!!」
「今度は何よ!!?」
既に頭が混乱していて苛立ちを覚えているナミはサンジが指す方を見た。
その方向は激突寸前のサイクロン―――があったはずなのに、その姿はなかった。
「え、消えた!?」
「今…突然と消えやがったんだ」
と、次の瞬間には荒れ狂っていた波さえも収まった。
一体何がどうしてどうなったというのか…。
船が静けさに包まれた。
―――戻ッテキテ
「んあ?」
突然ルフィの頭の中で響いた声。
思わずキョロキョロと回りを見回す。
どこかで聞いたことあるような……
ゴゴゴゴゴゴ……
だが、そんなことを考える暇を海は与えてくれなかった。
一瞬の静寂を一気に破るかのように海が唸り声をあげた。
そして
「な…」
「ウソでしょ」
「まあ」
「何ィィィィィ!!?」
「おいおい…」
「ギャーーー!!」
「うひょー!高波だー!!」
突然と現れたのは、桁違いの高波。
風は無い。オールを準備する時間もない。
成す術をなくした麦わらの一味。
「「うわァァァァァ!!!!!!」」
ザバーーーーーン
悲鳴をあげる彼らを高波は巻き込んで…消えた。
それは、まるで船を包み込むような―――
何事もなかったかのように、海は静けさを取り戻した。
これは一瞬の出来事。
Essere continuato...