Un orologio senza un ago

□導かれる船
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「ン…んあ?」


風は至って穏やか。今日は気持ちがいいほどの快晴だ。

そんな天候の下、海を進む一隻の小さな船。
ふざけているのかなんなのか、その船の船首は微笑んでいる羊が。
なんだかおかしな船だ。
そんな船が掲げている旗のマークは


麦わら帽子を被ったドクロ


この船は、少し前に空島を後にしたあの麦わらの一味の船――ゴーイング・メリー号だ。


そんなメリー号の甲板の中央で大の字になりながら寝ていた…ドクロのマークと同じく麦わら帽子を被っているこの男が船長のルフィだ。


ルフィは、眠たい目をこすりつつ大きな欠伸をした。
この気持ちよい天候なのだ。どこかの剣士でなくてもつい、お昼寝をしたくなってしまう。


「なんだ今の?」


それからルフィは頭を掻きながらボソッと呟いた。


「ん?起きて早々なんだよ、ルフィ。」


その呟きを偶然すれ違い時に聞いたのは、長鼻の狙撃手、ウソップ。


「ンー……夢…?」

「夢が、どうしたんだよ」

「ンーンー…わかんねェ。」

「はァ?」


ルフィは眉間に皺を寄せ、腕を組みながら考え込んだ。
…が、答えがみつからない。


「それがよ、誰かに呼ばれた気がしたんだ」

「呼ばれた?」

「おう」

「誰にだよ。つーか、なんで?」

「ンーーーーそれが思い出せねェ。いや、わかんねェ?」


一生懸命に考えているルフィ。

確かに、寝ている時に誰かの声が聞こえた…気がした。
しかし、それが誰でなんと言ったのかが思い出せない。
それは夢だから仕方がない。といえばそれまでなのだが、なんだか夢でない気がすると思うのはこの男の勘だろうか。だが、考えれば考えるほどわからなくなってくる。


「なんだよそれ」

「さァ」

「気味悪ィこと言い出すなよな…」


ウソップは、背筋が一瞬凍るのを感じてひとつ身震いをした。


「ウソップーー!まだかー!」


と、少し遠くの方で青鼻トナカイの船医、チョッパーが呼ぶ声がした。
どうやらウソップはこれから釣りでもしようとしていたらしい。
その証拠に、彼は今2本の釣竿を持っている。

ウソップはその呼ぶ声にハッとして「おう」と一声返事をしてからチョッパーのもとへ向った。
彼の中ではルフィのことは、とりあえずいつものことだから置いておこうという結果になったようだ。


「ンーーーーーーなんか、スッキリしねェな…」


ウソップが去った後もルフィはずっと考え続ける。
夢で終わらせるにはどうも納得がいかない“誰かの声”だったらしい。


しかし、


「んナミすわァーんvV ロビンちゅァーんvV 午後のおやつにミルクレープなどいかがでしょうvV」

そこへ勢いよく扉が開き、目をハートにしてでてきた金髪のコック、サンジ。

「おォォ!!サンジ!!おれも食うぞ!!」

もちろん、その声に誰よりも反応したルフィ。
先ほどの考えは何処へいったのか…。

元気に立ち上がり、そのままキッチンへ行こうとした。
その時――



コトッ


「いてっ」


ルフィの頭で何か痛みを感じた。いや、何かが落ちてきた。
突然の出来事でしかもピンポイントに落ちてきたそれを彼は当たった部分を摩りながら手に取る。


「なんだこれ?」



それは……時計だった。
一見普通のどこにでもありそうな懐中時計。
これと似たようなものをナミが持っていそうだ。
]Uまでの数字が刻まれてあり、回りを金色で塗装されてある。


ただ…違うとするならば、
それには針がなかった。


これでは何時なのかわからない。
壊れた時計なのだろうか。
それよりも何故自分の頭上に落ちてきたのか。
もしかしたら、誰かが落としたのか……?


いろいろと考えてみたルフィだが、やはり答えは見つからずさっぱりで、とりあえず後でウソップに時計を直してもらおうという考えにまとまりその時計をポケットにしまった。
そして、改めておやつをもらいに一歩踏み出したとき



「おい、お前ら!!」
「うわァァァァ!!!!!」
「なんだよ、あれ!!?」


ただいま見張り台にいる三本の刀を持つ剣士、ゾロが仲間を呼ぶ声と
釣りを始めようとしたウソップ・チョッパーが悲鳴をあげたのが

ほぼ同時に聞こえた。




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