Un orologio senza un ago

□出会い
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ロビンは昨日ルフィたちが入ったという密林を探索していた。


彼らはここで何匹もの獣たちに襲われたと話していた。
そのために、ロビンも厳重に警戒をしながら歩みを進めている。



……が、どこまでいっても静かすぎる。



『襲ってきた獣以外――あの密林には“動き”ってもんがまるでなかったんだ』



彼女はサンジがそう言っていたのを思い出した。
たしかに、その感じは最初に密林に足を踏み入れた時から薄々感じてはいた。
これだけの木があるにもかかわらず、葉が擦り合う音も、風も生気も何も感じられない。


それにどうやら周りに気を配ってみても、その“獣”の気配がない。
いくら広い密林とはいえ、普通獣ならいろいろな所に住処をつくり生活していそうなものなのだが……。

それに気になることが他にも。


(暴れた形跡がどこにもないなんて……)


ロビンはぐるりと周りを見回す。
サンジから自分たちはどこら辺から密林に入り、奥まで進んだかという大まかな道順を聞いていた。
実際に、いくつか目印になるものがあったし、だいたい彼らがここを歩いたのだろうという予想はついた。

そして、たくさんの獣に襲われたというのなら、その獣の爪あとや走った跡が残っていそうなのだが……どこにも見つからない。


まるで昨日は何事もなかったかというように密林の中は物音せずに静まり返っている。



「本当に何も寄せ付けていない……いえ、閉じ込められた世界、ね」



ロビンはわざとそうポツリと呟いた。
しかし、その音に反応してこちらに襲い掛かってくる獣は……どうやら本当にいないようだ。

それも奇妙な話だが。



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