Un orologio senza un ago

□巻き戻し
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コツコツコツ


軽快な足音がそこら中に響き渡り、いろんなところで音が反射する。


「どうでした?彼らの様子は」


そう声をかけられるとその足音はピタリと止み、代わりにカラコロと音が聞こえた。


「うん。十分楽しませてくれそうだよ」

「そうですか……」


彼に話しかけた人物は低く呟く。


「でもお楽しみはこれから……でしょ?」


カラコロと音を立てながら言う言葉のその最後の語尾は、少し遠くの方に投げかけられたものだった。


「ああ、おまえの言うとおりだ」


それに答えるようにくくっと笑う声が聞こえる。


「しかし、なんでまたこんなこと……」

「いいじゃないか、自力でここまできてもらっても。それに――」

「それに?」

「――まだ役者が揃っていない。姿を現すまでそう時間はかからないと思うが」


まるでそのことを心待ちにしているかのように言う。



「――では、次は私が」

「えー、今僕が行ってきたばっかじゃん」

「暇つぶし……にね」




そういうと今度はカツンカツンと規則正しく足音が響き、やがてそれは遠くなっていった。



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