Un orologio senza un ago
□流れ着いた先
1ページ/3ページ
暗く 暗く深いこの場所。
どうやら建物の中のようだ。
しかし、陽の光が当たっているようには見えない。
唯一光があるとすれば、中央に存在するソレ
タッタッタッタ
それからまもなく、急いでこちらに軽く駆けてくるような音が響いた。
その音は中央の辺りで止まる。
「……来たよ」
静かに告げるその言葉によって、その場の雰囲気が一瞬にして変わった。
「本当か!?」
「うん、アイツらが反応してるんだ、間違いない」
「……やっと戻ってきたか」
「あれからどれくらい時間が?」
「さあ、そんなこと…考える意味なんてなかったから」
ハハッと不気味な笑い声ともとらえられる声が静かに聞こえる。
「…おまえの言うとおりだ」
「―――で、これから?」
「そうだな…せっかくの“配達人”だ。少し遊んでみても悪くない」
「いいね、それ」
「しかし、そんな暢気なこと……」
「いいじゃないか。アレさえ帰ってくればなんら問題はないのだから」
まるで楽しむかのように一人は言い、一人は心配し、もう一人は無感情のままそう言い中央に光るソレを向かい合った。
「なァ、おまえも早く元に戻りたいだろ」
今度は必死に笑いを堪えるかのように言う。
中央で光るソレは、弱弱しい光をただ放っているだけだった……。
.