TReaSuRe

□I love you.
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アーモンド色の髪に大人の色気。酒に煙草に女好き。借金はツケるわ、仕事はマジメにやらないわ、恋人を何年もほったらかしにするわ。



ああ…なんでオレ、こんなヤツ好きになっちゃったんだろう。




I love you.





「惚れたお前が悪いな」





すっぱりと切り捨てられて、ラビは恨めしげな瞳を目の前の男に向けた。何がおかしいのか、クロスは酒を呷ると口元に笑みを浮かべてラビを見つめる。無遠慮な程に向けられるその視線に、ラビは顔を赤らめて目を逸らした。必然的に、この場の状況を打開すべく口を開く。






「違うっ!!!元帥が何年も帰ってこないで、帰ってきてもただいまも言わないで、…オレとは無関係ですみたいな顔してっ…」





最初は勢いがついていたものの、言っているうちに自分で自分が不憫になってきて、ラビは口を閉ざす。クツクツと笑い声が部屋に響いた。





「表情がコロコロ変わるのは昔と同じだな、Jr.」




「そ、その呼び方は嫌いさ…」




「でも、前より幾分か色気が増した。他の男でも見つかったか?」




「なっ…!!!なんでクロスはいつもいつもそんなッ…」







クロスの言葉に目を見開き、ラビは猛然と抗議した。いくらなんでも、その言い草は無いだろう。こっちは何年待ったと思ってるんだこの野郎、と叫びたくなるのを必死に堪える。暴れだしそうな感情がそのまま表情に出るラビを、クロスは愛しそうに見つめた。






「久々に会ったんだ。…何がしたい?」



「何、って…」






寝台の上に乗ったクロスが、ポンポンとシーツを叩く。そんな仕草をされれば、相手が何を望んでいるかは一目瞭然。ラビは躊躇いがちに寝台に近付き、クロスの服の裾を引っ張るとコクンと首を傾げて不安気な声を絞り出した。





「抱いて…ください…?」



「何で疑問系なんだ」



「抱いてっ…ください…///」



「素直で良い」






にっこりと笑みを向けられて、ラビは頬を淡く染めたまま寝台に乗った。この時にはまだ、クロスが妖しげに目を煌めかせたことなどラビには知る由も無かった。







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