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□神すら欺く聖夜 フリーSS
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〔神すら欺く聖夜〕



神すら欺く聖夜。
其はある少年と青年の再会の聖夜。


「珍しいさね、ティキがクリスマスに教会に連れて来る何て。」

「そう?折角のクリスマスだしよ。デートらしい事しなきゃ。」

「……こんな密会のデート何て何処にあるんさ。」

言葉を発する度に白い息が出る景色は何処か何と無く趣きがあった。

街はイルミネーションの極彩で溢れ。
響く音色は何処かで聴いた讃美歌。
通行人は皆皆笑顔。
ティキには全てが目障り耳障りに過ぎない。
こんなふざけた聖夜、ラビが居れば十分だ。

「何?ティキってばカミサマに御祈りでもするんさ?」

「まさか。神何て信じてねぇよ。だって神はオレらノアの一族だもん。」

ティキは教会の中央に設置されているマリア像に向かって右中指を立てて見せた。
それは「死ね」をサインするジェスチャー。

「ティキならそう云うと思った。」

ふふ、と微笑を浮かべる。
どんな天使や女神よりも美しい笑顔だと胸を張って言える、ラビの笑顔なら。

「其にどうせ愛を誓うなら神よりオレに誓ってほしいさ。」

「……何、ラビちゃんってば何気にオレを口説いてる?」

「…真面目に言ってんだけど。」

ラビは翡翆の眸でティキを見つめた。
可愛い恋人のおねだり、答えるしか無いだろう。


立て膝の座り。
そしてラビの右手を引き軽く接吻。



「……ラビ。オレはラビを永遠に愛すると誓うよ。」


「…其で良いんさ。」


また頬笑む。
今度は堪らず思わず柔かなラビの頬に接吻した。

「なあラビ。オレやりたい事が一つあるんだけど。」

「何さ?」

途端に教会の長机の上にラビの躰を押し倒した。
ティキとの経験が豊富な彼は何をされるか直ぐ様察知した。
こんな寒空に?寄りにも寄って教会で?意味解んないっみたいな顔をする。

「ちょっま、ティキっ」

「神様誕生の聖夜に教会でヤる何て、ロマンチックだと思わねぇ?」

「思わないさっ」

言葉で抵抗するも、衣服はどんどん肌けてゆく。
いつの間にか防寒服が全て脱がされていた。
ああもう成す術は無い。





****


「あ、ぁ…んっ」

寒さ等忘れている。
唯今は御互いの躰の温もりだけが愛しかった。
接合部分からの絶え間無い粘液が二人をより一層温めた。

「ん、ぁんっティキ…っ」

「どうしたのラビ、そんな可愛い顔しちゃって。」

「べ、別に普通の顔さ…」

「そっか。ラビは元から可愛いもんな。」

可愛い等と喝采すると赤い頬を更に赤く染めて怒る彼が余りに愛しくて、汗で滲んでいる額に接吻を落とした。
そしたらまた恥を覚え、今度は眼を反らした。
こっち向けよ、と言わんばかりに接合部分を激しく突きあげる。

「ひっあぁんっ」

そしてその勢いに圧され射精をした。
此で四回目だと、記録好きのラビは頭でカウントを進める。

「…ティキ。」

すっかり疲労した様な声で囁いてきた。
眼を合わせると其所には何よりも尊い緑玉(エメラルド)と間違う様な澄んだ翠の眸。

「…ティキ、愛してるさ……」

「ああ、知ってるよ。」

何かに脅えて不安げそうな彼の頭をそっと撫ぜながらまた囁いた。

「だってオレも愛してるもん。」


人気の無い街の隅の教会には二人の声はよく響いた。
どんな讃美歌よりも美しくて、信じられる。

神を信仰するなら彼を信仰し、崇拝せよ。と、自分の心がそう言っている。


神様誕生の聖夜に何と言う素晴らしい禁じ事。
寧ろ此を少しでも喝采してくれないかと僅な希望を宵に託すだけ。






The End.






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