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□クリスマスフリーSS Snow light.
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―bianco cane― *Allen×Lavi*
昨夜から降り始めた雪は、一晩で世界を白一色に染めていた。早朝、いつもならゆっくりと寝ている彼が珍しく早く起きて、しかもまだ夢の中にいた僕を叩き起こしたのもそのせい。
「アレンっ!!!凄ェぞ、雪!!!雪さ雪〜!!ね、ほらッ!!!いつまでも寝てる場合じゃないさぁ!!!」
あんな無邪気な笑顔で言われたら起きるしかない。マフラーをしっかりと巻いてコートを着込んでも、外はやはり寒かった。真っ白な世界を駆け回っている彼はやっぱり子どもだ。
「…元気だなぁ…」
思わず感心していると、ラビが両手に何かを持って駆け寄ってきた。
「アレンっ!!見てコレ!!!」
「何ですか?」
彼の手袋に覆われた手の平を覗き込めば、その上にちょこんと小さな兎が乗っていた。雪で作られた真っ白な兎。
「作ったんですか?」
「そ、なかなか可愛いだろ?アレンにあげるさv」
壊さないように慎重に受け取ると、ラビは嬉しそうににっこりと笑って隣に腰掛けた。そのまま二人で空を見上げる。灰色の空から真っ白な雪が舞い落ちてくる光景は幻想的で儚かった。
「…アレンって雪みたいさね」
「え?」
雪みたい。そう言われてもあまり嬉しくない。雪は綺麗なように見えて本当は汚れているし、冷たいし、すぐに消えてしまう。
―…ああ、綺麗なように見えて汚い、ってとこは僕に似てるかも…
そんな自虐的なことを考えながら無言でいると、ラビは続けた。
「なんか、雪って温かい感じがするさ。綺麗なものも汚いものも、人間も草木も何でも…差別することなく皆を覆ってくれる…。そんな所が優しいな、って思う」
雪を温かいと表現する人なんて初めて見た。なんて不思議なんだろう。さっきまで忌々しかったその氷の粒が、彼の言葉で愛おしくなってくる。
「じゃあ、僕がラビを覆い隠してあげますよ。白一色で染めてあげる」
寒さで冷たくなった唇に口付けを。
雪は音も無く降り積もっていく―…。
*