ぷよぷよ

□ケーキ
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「うーん、ここかー」

おいしそうな甘いにおいがする。
最初はレムレスがつくったお菓子のにおいかな、と思ったけど、レムレスの作ったお菓子はもっともっと甘いにおいがするはず。

じゃあ、誰だろう。

「・・・ここ」

水晶のどうくつ。
きらきらした水晶がたくさんある場所。
そういえば、このあいだメガネが、ここの水晶は呪文のチカラを強めるって言ってたっけ。
・・・よく覚えてないけど。

「・・・あ」

ケーキだ。
テーブルの上にケーキがある。
なんでこんなところにあるかなんて、そんなの別に気にしない。

「いただきまーす」
「おい、待て」

食べようとしたとき、後ろから声が聞こえた。
振り向くと、銀色の髪に、青い目の男の人が立ってた。

「・・・だれ」
「こっちのセリフだ。誰だ、お前は」
「シグ」
「・・・」

男の人は呆れた顔をした。
なんでかわからないけど、今はそんなことよりも目の前にあるケーキが食べたい。

「これ、だれの」
「俺のだ」
「食べていい?」
「・・・図々しいガキだな」

口ではイライラしているように話すけど、なんとなく、わかる。


この人は優しい人だ。


「ほら、食うなら食え」
「わーい」
「食ったらすぐ帰れよ」
「うん」

この人の作ったケーキは、レムレスのよりも甘くなくて、でもすごく、優しい味がした。
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