魂の炎
□下
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「あれぇ?そうなの?てっきり好きなんだと思ってたよ。 まぁ、良いや。副長が一緒に行くって行ってたよ。待っててね。あと沖田隊長。近藤さんが呼んでいましたよ」
少し不思議そうな顔をした崎山さんだったが、とっとと要件を告げ終わった。
総吾さんは崎山さんをわざわざ蹴りあげてから部屋をでていった。
此処で、俺1人で行くなんて言ったら崎山さんは怒られるだろうだけど……。
言ってないけど、俺の兄上テロリストだし。
その万事屋さんも元々そうだったって聞いてるし。
そう、ひとつ思い出したのだ。
兄上が昔、攘夷戦争を一緒に戦っていた人。
そして、『先生』の記憶を共有している二人。
桂小太郎と坂田銀時。
片方は今尚、攘夷志士だがもう1人は違うらしい。
多分銀時さんが銀ちゃんなんだろう。
ふと、昔、二人にあったら俺だけ"兄"だといじけるから二人も兄と呼んでやれなんて言っていたことを思い出した。
沢山話してくれた、二人のことなら色々知っているからあんまり初めて会う気がしない。
兄上はホントに優しいな。
「どうしたの?」
気がつくと崎山さんが覗き込んでいた。
うわぁ、地味顔のドアップって地味に嫌だなぁ。
「ちょっ、なんで嫌そうな顔したの!?」
「……気のせい、です」
「そんなに俺の顔気持ち悪い!?」
「い、いえ。どちらかと言うと地味です!!」
「フォローになってないよ!?」
傷ついた顔をする崎山さんを尻目に出ていく準備をする。
「もう準備しちゃうの?」
荷物は少ないから直ぐに終わる。
というか、女物の着物三、四着と傘と刀と羽織、愛用の金づち、巾着一杯の兵糧がん、袋三、四つにたっぷり入った金子だけだ。
あれ?案外多い?
「うん、もう出るから。土方さんと総吾さんによろしく。」