短編&番外編
□夢主と高杉出逢い編
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攘夷戦争が終わって数年ほどたった。
日本はようやくにある程度復興して、沢山の天人達が町を闊歩する。
でも、山奥にひっそりそびえる此所、宇宙地球研究センターには外の(世界)ことなど関係なかった。
この話の主人公、No.134は夜兎と焔族のハーフだった。
その、夜兎はともかく焔族の希少性から生かさず殺さず実験台にされている。
No.134は読みかけの本を一旦おいて、近くの窓を眺める。
この施設にいる人のほとんどがそうであるようにNo.134も名前がなかった。
「おーい!いっさんしぃ!!」
見知った声が呼ぶ。
このいっさんしとはNo.134のことを指している。
「なにさ」
振り向くとひまわりのような笑顔。
No.134の親友で、生粋の夜兎であるカインド。
ソイツはこの施設の中で少数派の名前があった。
「暇そーだったから呼んだだけ。」
このニコニコ笑顔に何人の実験台が救われたか知れない。
それほど、カインドはこの施設に必要な存在であった。
「別に、暇だったわけじゃないよ。月を見てたんだ」
No.134のいる場所からまん丸の美しい満月が見える。
カインドも覗き混んで見てくる。
「おおお!!すっげえ!いっさんしすげえな、こんなの見つけられるの」
キラキラまぁるい瞳を輝かせる。
「あははっありがと。違うんだよ。こんなに綺麗な満月の日は、なんだか嫌なことが起こりそうだなって思って。」