大天の羅刹
□心暖まる第二話
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そうして日々を過ごして少しずつ、1歩1歩、心の距離が近づいていく。
松陽に勉強を教えて貰ったり、
桂と一緒に二人の喧嘩呆れたり、
高杉と一緒に稽古をしたり、
銀時と一緒に悪戯を仕掛けたり。
皆でおやつを食べて、
縁側で昼寝をして、
春になれば花見をして、
夏なれば野山を駆け巡り、
秋になれば栗拾いや松ぼっくりでリースを作って、
雪が降れば雪遊びして、
その後毎回風邪を引いた高杉の家に忍び込んでお見舞いして、
小さな幸せを積み重ねていく。
まるで真綿で包んでいくような日々を空瞬は続いていって欲しいと願っていた。
それは生まれて初めての幸せで
それを守りたいのはヒトとして当然の事の筈。
最も何もこの幸せを守りたいと強く思うのは空瞬だけではない。
他にもこの幸せの大切さを、価値を知っているものがいた。
それは銀時だ。
近い境遇の二人は一緒に守ろうと誓いあった。
だが、もう異変はすぐそこにまで来ていた事に気づいていたのは、
吉田松陽
ただ一人だった。