魂の炎
□下
3ページ/5ページ
「えっ?ちょっ!?土方さんが一緒に行くって…!」
慌てる崎山さん。
「いらない、銀ちゃんなんてあだ名知らなかったから気づかなかったけど(一方的に)知ってる人だったから。」
嘘はいってない。
「あっそうだったの。分かった副長には俺から伝えておくよ」
あっさり引き下がる崎山さん。
何でこれで信じられるんだろう、この人監察向いてないんじゃ……。
真選組を出て、少し駆け足で歩く。
初めは確かに少しだったのに最期には走り出しちゃって。
期待してたんだ。
兄上がポツリとこぼした言葉に
『銀時は、俺に似てんだよォ』
というのがあったから。
走ってついた先には確かに《万事屋銀ちゃん》の文字。
おそるおそるチャイムを鳴らす。
ピンポーン
なんていうなんとも間抜けな音が響く。
少したって出てきたのは見せてもらった写真にいた、天パの死んだ魚の目。
兄上の言っていたことは本当だった。
土方さんなんて比べ物にならないほどの悲しい瞳。
それは兄上がいつもしていた瞳。
確かによく似ている。
悲しい瞳が限界まで開かれる。
「お前…慶火か?」
何で俺の名前知ってんの?
何で…そんな優しい顔で見るの?