魂の炎
□初めてましての二話上
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「此処が俺の仕事場の《真選組》だ。まぁ幕府に仕えてる警察みたいなモノだ」
知らない訳がなかった。
兄上は幕府の狗と言っていた。
この人は兄上の敵で、でも優しい。
「どうした?入るぞ?」
土方さんがこちらを見る。
その顔は微かに喜色のようなものが浮かんでいて、彼にとって真選組は大切なモノなのだろうということが窺える。
兄上はこの人のセカイも壊そうとしているんだ。
今まで何とも思っていなかった事に恐怖を覚える。
土方さんの手を先程よりも強く握る。
土方さんは緊張しているのだと思ったのか頭を撫でる。
がしがしと力強い撫で方。
仄かに土方さんの煙草の薫りが漂っている。
それは兄上のに似ているようで、でも違う匂い。
切り替えなくっちゃ。
兄上はもう居なくって、俺は1人だから。
余計な事は考えなくて 、良い。
これから必要な事を考えなくては。
銀ちゃんってどんな人なんだろう。
土方さんの後に付いて中に入る。
するとゴリラがいた。