○REBORN短編
□殺願狂想
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「…です、が」
「……僕は今忙しいんですよ。
どうせ言うのなら、後にしてください」
…いつもそうだ。
私がこの話を持ち出そうとした時に限って、
彼はこうやってデスクワークをしている。
普段はそんなもの別の誰かに任せたりなんなりして、
ソファーで優雅に紅茶を飲んでいるのに。
なんでいつも。
「…本当に、死にたいんですよ」
「だから何だというんですか。
それが、僕が君を殺さなければならない理由にはならないでしょう?」
……悔しいけど、正論だ。
…でも、本当に死にたいから仕方ないのに。
私は、勇気がないから。
だから、私は、頼んでるのに。
「…どうすれば、骸さんは私を殺してくれるんですか」
「…そうですねぇ…」
顎に手を添えて、どこか遠くを見るように、数秒思案する骸さん。
しばらくして、答えが出たのか…わずかに目を細める。
「……君が、今まで以上に、
僕に忠実に付き従い、尽くしてくれるのなら…。
____少しは、前向きに考えてあげましょう」
自分の言葉に満足げに笑いながら、彼は言う。
それが無性に絵になっていて、拳を強く握った。
「…私、十分に骸さんに尽くしてます」
「まだ、足りませんね」
「……まだ、ですか…?」
「えぇ、まだです。
___さて、名無しさん。
…休憩がてら、君には紅茶を淹れてもらいましょうか」
「…はい」
「…クフフ、それでいい…___」
____私が背を向けた時、
骸さんが妖しく笑って、
小さく、小さく言葉を落としたなんて、
知る由も、ないので。
“___どうせ君には、死ぬ勇気なんて、存在しないのだから、ね“
殺願狂想。
(君はそうやって)
(永遠に僕に懇願し、尽くしていればいい)