ゴッドイーター(短編集)
□【まずは自己紹介の思い出】
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「よぉゼロ。任務帰りか?俺たちは見ての通り帰還出来たって感じだよ」
「今日も相変わらずだな。タツミ達も」
こんなに上手に焼けた状態でも爽やかに笑みを浮かべて近寄るタツミに敬意を証する。
「んじゃ、任務お疲れって事で俺は席を外すとするかな」
「あ〜!!!!」
『!!??』
ソファーから腰を浮かしかけた途端、隣で座っていたカノンが急に大声をあげ、俺の手をガシッと力強く引っ張り引き留めた。
案の定、もう一度座る形となり、全員何事かとカノンに視線を向けると、あからさまな笑みを俺に浮かべてきた。
「せっかくこうして時間も取れたんですし、みんなで改めて自己紹介しませんか?」
「は?」
唐突に何言ってんだコイツ。
「ほら、私たち部隊が分かれてて任務も場所も別々であまり会えないじゃないですか。
ゼロさんがこの極東支部に配属された時、新人さんにも関わらずメールでしか簡単に済ます事しか出来なかったので」
あー、とタツミとブレンダンも成る程と納得の表情を見せる。
「そういやぁ面と向かって自己紹介はしてなかったな。なんせ、あんときのゼロは可愛い新人で神機すら扱えてなかったし」
可愛い言うな。
ブレンダンも便乗してか、腕を組んで俺に話を繋げてきた。
「それが今じゃ第一部隊のリーダーへと昇格してるのだから驚きだな。成長スピードも目まぐるしい速さだったからな。尊敬にあたいする」
「……そうかぁ?」
まぁ……、神機の扱いは直ぐに慣れる事が出来たからってのがあるかもな。
「それじゃあ私から取って置きの紹介しますね。実は私……」
何やら真剣な眼差しで声をおさえてきたので、俺も耳を傾ける。
「料理が得意なんです!」
コケッ。
思わず身構えていた俺ら男子三人組はソファーからずっこけてしまった。
「いやいや! それって別に真剣な顔して報告する事じゃなくね!?」
「え〜? でも殆どの人に意外って言われるんですよ?」
「いや…、まぁ……それは分かるが…」
基本的に任務中、神機を握れば人格が変わるし、誤射を何度もするあたり、料理もごり押しなんじゃないかと想像するが…。
「この前作って皆に配ってたクッ キー、美味かったな…」
「でしょ! 私お菓子が一番得意なんです。材料があまり手にはいらないのでなかなか作れないんですけど、力作ではあったんですよ」
「へぇー…」
何となく会話を聞いていたタツミがカノンの話しに遅れてえ?と声をもらした。
「クッキー、配ってたのか?」
「え? 皆さんにあげたつもりだったんですけど、タツミさん貰ってませんでしたっけ?」
「知らないぞ俺」
「……………………」
一旦の静寂。