ゴッドイーター(短編集)
□【誰かを頼る事】
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「悪いアリサ。今から付き合って」
任務完了後、帰還したゼロから出会い頭に話しかけられ、ぽかんと口を開けて暫く彼を眺めていた。
「………え」
返答する間もなく、相手は急いでオペレーター受付のヒバリへ足を運び、何やら会話をしに向かった。
「あ、ちょっ……、えぇ?」
今日の荒神はいつもより被害報告が上がっていないので、暫くアナグラに居たものの、常に外へ出動するリーダーとゼロとはまだ会話すらあまりしていなかった。
等の本人は最善策の任務を確認しているみたいで、こちらに戻ってきたかと思えば、
「15分後くらいに俺と二人で出動するけど、宜しく。理由は聞かないでくれ」
「それは…、いいですけど…」
それにしては、
「突飛過ぎませんか?」
直球で言えば、突然了承もなく任務を受注したのを悪いと思っていたらしく、目をそらして苦笑を浮かべた。
まじで人手不足でよ…とボソリと呟きを聞いて、私は半ば呆れはしたものの、それくらい激戦区域では日常茶飯事である事は分かっている。
だから、即断即決をする彼の判断力も大いに評価しているんだ。
「仕方ないですね。では準備をしますので、少し待ってて下さいね?」
アイテムを補充しに向かおうとすれば、「それから…」と注文を入れてきた。
「出来れば炎属性のバレットは控えてくれ。雨が降り続いてるし、向かう先の荒神にあまり効果がないからな」
エレベーターへ向かいつつ隣を過ぎる間際、ぽんと私がかぶっている赤いチェックの帽子に手を置いて意味深い事まで残していった。
「あんま露出した格好で行くなよ」
ドキッとして耳あたりが熱くなってしまって、とっさに振り向けばエレベーターに乗っていた。
「し、心配御無用です!」
ボタンを押して扉が閉じる手前、隙間から見た彼と目が合えば、柔らかい笑みを浮かべていた。
うぅ…、ちょっと意地悪だ…。