ゴッドイーター(短編集)

□【元気になれるおまじない】
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「はぁー…」

アナグラ内のソファーで座り、どんよりとした空気でアリサは溜め息をつく。


別に神機が壊れたとか、ミッションを失敗したとかそうゆう理由じゃなかった。

ただ力が抜けるような、身体が気だるいというか、兎に角気分が優れないのである。


「盛大な溜め息だな…」


珍しくソーマが声をかけ、その隣からコウタも顔色を覗く。


「あ、お二人はこれから出撃ですか?」

「あぁ」

「ちょっと珍しい金のグポロがいるとか居ないとかで、探索してみるんだー。もしこれが本当なら、ミッションの幅も増えるし、面白そうだからさ」


「意外ですね、ソーマさんもそうゆうのに行くんですか」

まあなと素っ気ない返しをして、ゲートに目を移す。

その反応を見てふとゼロと比べた。



(クールな部分は似てるけど、対人関係に慣れてる感じはゼロさんのほうが上って感じですね。直ぐに目を反らしてしまう所が特に)


じっとソーマを見上げていれば、相手が面倒くさそうに顔を歪める。


「…なんだ」


「いえ、ただ見て思ってた事があって…」

「思ってた事?」


「ソーマさんは会話をするとき、もう少し目を見て話した方がいいですよ」


「………………」


黙り込んだソーマに、隣からコウタがケラケラと茶化してきた。


「そうだぜソーマ! 俺も前々から思ってたけど、無愛想な顔し過ぎだって! 俺みたいにもっと笑わなきゃ」

「……余計なお世話だ」


そう吐き捨てながらすたすたと先にゲートへ向かい、コウタの方もバタバタと駆け足で向かった。


「じゃ、俺ら行くな。見かけたら絶対に報告するからさ!」


「はい」

お互いに手を軽くふり、二人が居なくなればまた、シーンと静かになった。



「………………」


それからぼんやりと地面に目を向ける。

考え事もなければ、体も動かす気にはなれない。


もしかしたら風邪なんじゃないかとそんな結論に達して、医務室へ向かう為に立ち上がった。

案の定、多少ではあるが足元がふらつき、それでも何とか歩いてエレベーターに乗り込む。


視界がボヤけていたが、目的のボタンを押してエレベーターが上がる。

浮遊感を感じながらも、扉があいた。



「…………っ」



止まったのと同時にクラクラと目眩がして、突然視界が白くボヤけていき、フラりと体が前へ倒れてしまった。


ドサリ




エレベーターから出たので挟まれはしなかったが、その場でアリサはうつ伏せに倒れてしまった。




(……やだ…、体が重くて動けない…)



意識が遠のいていき、フッと眠りに落ちてしまった。





それから数秒後、倒れた音に気づいたのか、あるドアからゼロが出てみれば、倒れてるアリサの姿に気づいた。



「……………アリサ……?」
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