ゴッドイーター(短編集)
□【元気になれるおまじない】
1ページ/6ページ
「はぁー…」
アナグラ内のソファーで座り、どんよりとした空気でアリサは溜め息をつく。
別に神機が壊れたとか、ミッションを失敗したとかそうゆう理由じゃなかった。
ただ力が抜けるような、身体が気だるいというか、兎に角気分が優れないのである。
「盛大な溜め息だな…」
珍しくソーマが声をかけ、その隣からコウタも顔色を覗く。
「あ、お二人はこれから出撃ですか?」
「あぁ」
「ちょっと珍しい金のグポロがいるとか居ないとかで、探索してみるんだー。もしこれが本当なら、ミッションの幅も増えるし、面白そうだからさ」
「意外ですね、ソーマさんもそうゆうのに行くんですか」
まあなと素っ気ない返しをして、ゲートに目を移す。
その反応を見てふとゼロと比べた。
(クールな部分は似てるけど、対人関係に慣れてる感じはゼロさんのほうが上って感じですね。直ぐに目を反らしてしまう所が特に)
じっとソーマを見上げていれば、相手が面倒くさそうに顔を歪める。
「…なんだ」
「いえ、ただ見て思ってた事があって…」
「思ってた事?」
「ソーマさんは会話をするとき、もう少し目を見て話した方がいいですよ」
「………………」
黙り込んだソーマに、隣からコウタがケラケラと茶化してきた。
「そうだぜソーマ! 俺も前々から思ってたけど、無愛想な顔し過ぎだって! 俺みたいにもっと笑わなきゃ」
「……余計なお世話だ」
そう吐き捨てながらすたすたと先にゲートへ向かい、コウタの方もバタバタと駆け足で向かった。
「じゃ、俺ら行くな。見かけたら絶対に報告するからさ!」
「はい」
お互いに手を軽くふり、二人が居なくなればまた、シーンと静かになった。
「………………」
それからぼんやりと地面に目を向ける。
考え事もなければ、体も動かす気にはなれない。
もしかしたら風邪なんじゃないかとそんな結論に達して、医務室へ向かう為に立ち上がった。
案の定、多少ではあるが足元がふらつき、それでも何とか歩いてエレベーターに乗り込む。
視界がボヤけていたが、目的のボタンを押してエレベーターが上がる。
浮遊感を感じながらも、扉があいた。
「…………っ」
止まったのと同時にクラクラと目眩がして、突然視界が白くボヤけていき、フラりと体が前へ倒れてしまった。
ドサリ
エレベーターから出たので挟まれはしなかったが、その場でアリサはうつ伏せに倒れてしまった。
(……やだ…、体が重くて動けない…)
意識が遠のいていき、フッと眠りに落ちてしまった。
それから数秒後、倒れた音に気づいたのか、あるドアからゼロが出てみれば、倒れてるアリサの姿に気づいた。
「……………アリサ……?」