両片想い

□片恋2
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それは本当に些細なことで、
きっと好きじゃなかったら記憶の片隅にすら残らないようなことで、
それでも
なんでかな?
思い出すたびに
あったかいような
くすぐったいような
そんな気持ちになるの___












それは中2の冬
ちょうど新生徒会がはじまるときのこと。
晴翔は委員会の委員長になった。それで、その担当の先生は私が仲良くしてた顧問の先生で、漢字に弱いあいつは先生の名前の書き方を忘れてた。ほんとばか!でもそんなところとかも可愛い。なんて思っちゃったりして。




次は移動教室だったから。ちょうどあいつがいる通路があいてて、てか、そこしか通れなくて。ああ、でも早くしなきゃ時間はどんどんせまるし、友紀たち待ってる。いかなきゃ、となるべく気にしないふりをしながら横を通過、しようとしたとき







「木村!」





山沖先生のフルネームってどうやって書くんだっけって、困った顔しながら私にシャーペンを寄せてきた。





書けって?




ニヤけそうになる顔を髪で隠そうとしたけど私の短い髪じゃ無理!必死でこらえながら震える手で紙に字を書く。





バレないよね?
顔が赤いこと
この動機の音












多分あいつにとって私はただ近くを通ったから聞いただけで







でも、









それでも、













ただ、私だけが知っていればいい






だってきっとこれは私が彼に恋してた、確かな記憶__,

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