リアルマーメイド
□リアルマーメイド
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突然の俺の呼びかけに完全にフリーズしている有川。
「有川?」
念のためもう一度呼びかけるとビクリと肩を揺らしておそるおそる俺を振り返った。その顔は少し困ったような……いや怯えた様にも見えなくもないけど。いつもだったら冷静に頭がまわるのに今は全然働かなくて。なんて顔してるんだろうなんて考えていられないほど。ああ、はやく、はやく話してみたい。そんな気持ちでいっぱいになって。
「あ……のさ、この間は突然ごめんな。なんていうかその……あれはさ、見つめてたのは自然的な行為っていうかなんていうか。いや、自然っていうのもおかしいけど。なんか有川のこと気になっちゃ……って!ちが、まあ気になるけどやっぱ転校してきたばっかだからさ!?その…複雑な感情がどうこうとかいうわけではなく!!いや、かけらもないとか魅力がないとかそういうんじゃ( 以下略」
プッ
クスクス
なにが言いたいんだかわけわかんなくなってきて、しかも一方的に話してるのが不安になって少し有川を見ると、おかしそうに笑った顔が、そこにはあって。この間の笑みとは違う、可愛らしさっていうか。それは、思わず見とれてしまうほど、魅力のある笑顔だった。