短編
□「8年の片思い〜君の命〜」
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最初の出会いは赤い世界
印象は受け付けないほど嫌味ったらしくて
でもその誰も受け付けない雰囲気に
僕は興味を持ってしまったんだ
春、
桜の舞う中それに負けないほど美しい君に
僕の心は徐々に惹かれていった
綺麗な君が誰かに攫われないように僕は君のそばにいたいと願ったんだ
それが許されないことだと分かっていたというのに
僕は願ってしまった。
夏、
河川敷、君と君の分身と小さな花火大会。
分身と君を、僕は大事にしたいと願う
君の笑顔が好きだよ
子供っぽくて、意地の悪いその笑みは
僕の心を掴んだまま離さない。
線香花火はまるで君のようだと思い
少しだけ泣きそうになりながら
僕は笑ったんだ。
片思い、8年目の冬
君がいなくなるなんて夢にも思わなくて
もっと早く、気持ちを素直に行っていれば良かった。
ねえ、もっとそばにいたい
ねえ?もっとそばにいてもいい?
ねえ、何もいらないから。
そばに居させて
秋
山へと紅葉狩り。
無邪気に遊ぶ君の姿はまだまだ子供のようで。
君の分身に君はいつも意地悪をするけど、そんな君も可愛いと思って
君をもっと手に入れたくなった。
それでも大事な人がいる君に僕の気持ちを伝えるなんて
できるはずがないだろう。
僕は少しだけ、僕の心を静かに殴りつけて
声にならない二文字の言葉を
息と一緒に吐き出した。
冬
寒くなってきた頃、薄着で出歩く君を初めて抱きしめた。
華奢なその身体に少しだけ力をいれて
夜空を見上げた。
丁度良く白い雪が降ってきたあの日の夜は
今でも僕は覚えているけれど
君は忘れていたようだから教えてあげない。
綺麗に光る星星が静かに
僕たちを見守っていたんだ
※
片思い、8年目の冬
君がいなくなる夢を見ては子供のように涙をこぼす夜
身体の震えが止まらなかった
ねえ、もっと笑って
ねえ?もう、笑ってくれないの?
君は新年になる前に、
雪のように一瞬に消えてしまった
何にも出来ないから
今すぐに会いに来きたい
※
君の命が終わる時、握った手に力を入れた
俺はここにいるよ
ここにいるから、
早く、戻っておいで。
何にも、いらないから
戻っておいで。
そう、僕は涙をこぼして
その涙と一緒に君の命は静かに役目を終え
徐々に落ちていく君の体温を僕の体温で保とうとして
もう起きることのない君の身体を抱きしめた。
※リピ
君が確かに存在して
僕のそばにいて
僕が確かに恋をしていた
君が僕のそばにいたと
8年分の想いよ、君に届いて