君を愛してもいいかな?
□その表情の理由
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現世に降り、
後ほど届いた義骸に入れば早速入学手続き等が行われ、「超能力」という才能を検査された。
誰でも持っている力らしいけど意外と大能力者と判定された俺は特別視された。
ここでもそうか、と心底呆れながらも登校前日の夜中。
寮から出て飲み物でも買いに行こうとしたところだった。
何かを殴る鈍い音
その度にあがる苦しそうな声。
その声を黙って聞いていればそのうちそれは断末魔へと変わった。
スルーしてその場を離れようと路地を横切ろうとしたときだ
「おい、そこにいるヤツ出てこい」
きっと加害者側である男の声が絶対的な確率で俺に投げかけられた。
逃げるべきか
大人しくするべきか
わからなくて何も言わずにその場に立ち尽くしていた。
ら、ガコン!!!!と、破壊音と共にとてつもない力で横の壁を男に蹴られた。
「オイ、お前のことだよ。クソガ…キ?」
その男の姿は、ホストのような容姿だった。
だがその表情はまるで信じられないものを三鷹のような表情をしていて理解できずにそれを見つめるだけだ。
いや、もっと正確な表現があった。
その表情はまるで悲しむような、表情。
意味がわからなかった。
だからその表情から視線を逸らした
「いやー、あはは…。
俺何も見てないっすよ…?
自動販売機に用があっただけで」
ついでと言わんばかりにとりあえず沈黙も痛い為はぐらかす様に笑いつつ適当な理由を口にする。
わざわざこっちだって痛い目に会いたいわけではない。
「…ハッ、人殺しの場面に遭遇しといてその落ち着きよう。ただの学生とは信じらんねぇなぁ。」
すると目の前の男は先ほどの悲しそうな表情はどこへやらと突っ込みたいほどに冷酷で無表情を俺に向けて疑いの目を向け始める。
「いや、ワケアリで…なれているんで」
これはまずいことになったと自分でもわかる。
というかあながち間違いではない気がする。
死神の役職は必ず血を見るもんだ
死ぬ隊士も多い、食われる魂魄も少なくない。
もっとグロテスクな場面に遭遇したことなど死神という役職に就く前から何度も流魂街で見てきた。
だがそんな現世の人間に流魂街だの死神だの行ける訳もなく、俺は困り果てるくらいしかできず。
するとかなり大きな舌打ちをかまされたかと思えば
俺はズルズルと男に連れて行かれた。