03/14の日記

20:07
モゼ←ノマ(全部:シリアス)
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一際眼を引く紅い髪を揺らして前を歩くアイツを、あたしはただ見ていることしか出来ない。

「(振り向いて、こっち向いて)」

思うだけで、声にはしない。だって、あたしのキャラじゃないし。

「(もっと傍に、行きたいよ。傍に居させて)」

やっぱり声にはしない。だって、手を伸ばしても、届くか分かんない。それに、今までの関係を崩したくはない。

でも、一番の理由は怖いから。近付き過ぎると、それが離れる時が怖いから。

「(ししょーみたいに……アンタは、いきなり消えたり、しないよね?)」

父さんと母さんは喧嘩ばっか。それにうんざりして家を出れば、今度は信頼してたししょーが行方不明。
学校の友達やザマランのじじいの反対押し切って遺跡船に来たら来たで、アイツとの距離にジレンマ。

もう、失うのはこりごりだよ。
誰かを求めるのも、疲れた。

「(疲れたんだ……)」

うつ向き歩いてると、不意に影が差した。
不思議に思い顔を上げると、太陽を背に、アイツがあたしの前に立っていた。

「どしたのさ?アンタ先頭一人でズカズカ進んでたくせに」

思ったことと全然違うことを紡ぐ、あたしの口。素直になんかなれない。

ずっとあたしより背が高いから、見上げてると、アイツにしては優しく、それこそ壊れ物でも扱うみたいにあたしの頬をそっと撫でてきた。

「な、何さ?!」

驚いて後ろにあたしがさがれば、一歩前に出てきて、顔を寄せてくる。
紅い隻眼に見詰められ、取り付かれたみたいにあたしは動けない。

「ワレ、どこぞ具合でも悪いんか?」

再び頬を撫でられ、顔に熱が昇るのが分かった。

「べ、べっつに〜〜何でさ?」
「どうもないならそれで構わん。けど、なんじゃ思い詰めとったみたいに見えたからの」

強がって見せたら、今度は頭をくしゃくしゃと撫でられる。
苦笑を溢した表情に、胸の奥がツキリと痛む。

「(ああ、アンタのその優しさが、堪らなく苦しいよ)」

そう思いながら、あたしはにこりと笑って見せる。笑顔を作るのが、何時の間にか得意になってた。

「何ともないっての!ほら、さっさと行かないと皆に置いてかれんじゃん!」
「ホンマに平気なんか?」

背中を押して無理矢理歩かせると、怪訝な表情で訊ねてくる。

「だーいじょぶだって!!」

笑って誤魔化してアンタに嘘をついて、自分に嘘をつく。

「(好きだよ、モーすけ。だから、あたしの想いに気付かないで)」



☆コメント☆
[紅奈] 03-14 20:12 削除
あとがき的な。
モゼノマの全部の内のシリアスです。
モゼ←ノマになってますが、シリアス、てか只の片恋……(苦笑)
誰かを求めることに臆病になったノーマ。親が仲悪いし、師匠は行方不明なるしで、ノーマは置いてきぼりな寂しさに何より敏感だと思うんですよね……。
笑って誤魔化して、一人で泣いてって感じです。
何か、こんなんですみません(--;

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