03/13の日記

23:03
政佐(全部:現代パロ)
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ぼんやりとする頭で天井を眺めていると、冷たい手が優しく額に置かれる。

「こういう時って冷え症も捨てたもんじゃないでしょ」

にこりと笑顔で言われて、頷く。
季節の代わり目に風邪を引くのはよくあることで、熱を持った身体に、冷たい手は心地良かった。

「食欲……は、なさそうだね。でも、何か食べないと良くなるもんもならないよ。林檎剥くからそれくらいは食べてね」

額に置かれるものが手から冷水に浸けたタオルへと代わる。
持って来たと言う林檎を剥き始めたのをぼんやりと眺めながら、咳き込んだ。

「あ、寒かった?」

ナイフを止めて心配そうに眺めてくる琥珀色の眼に、首を振る。
安心したのか、そう…と一言返事をして再び林檎を剥き始めた。

「って言うか、具合悪いなら悪いって一言メールくれれば良かったのに。ホント、意地っ張りって言うか甘え下手と言うかさ」

手際良く動く手と、次から次に言葉を紡ぐ口。

「一人暮らしって色々大変だろうけど、ちゃんと自分の体調管理しとかないと余計大変なんだから。俺が来なかったらどうしてたわけ?歩けないくらいフラフラのくせに」

少し眉をつり上げ林檎を食べやすい大きさに切っていく。
メールをしなかったことがお気に召さなかったらしい。最も、
「旦那に聴いた。風邪引いてんでしょ?お見舞い来た」
と仏頂面で来た時よりは幾分か怒りも収まったらしいが。

「食べれそ?」

ベットから起き上がると、剥いたばかりの林檎を差し出してくる。食べる気力もなかったが、折角剥いて貰ったから、差し出されるまま一口かじった。

「ふふ、何か熱のせいか何時もよりいー子だね。ちっちゃい頃の旦那思い出すなぁ〜。ま、俺もその頃はガキだけどさ」

咀嚼していると、くすくす笑いながら頭を撫でられた。何時もなら腹の立つガキ扱いの行動だが、不思議と今は心地良かった。
風邪を引いて、誰かが傍に居るのが、居てくれるのが、久し振りだからかもしれない。

「…佐助」

名を呼べば、自分でも驚く程掠れた、弱々しい声が出たが、佐助は「なぁに?」と優しく微笑んでくれた。

「ありがとな。見舞い、嬉しかった」

何時もみたいな英語じゃなくて、ちゃんと日本語で礼を述べれば、一瞬キョトンとしだが、直ぐに笑みに変わった。

「どういたしまして!今日は俺泊まって看病するからさ、早く元気になってよ、政宗」

暖かい、その優しい笑顔が、どんな薬よりも効きそうな気がした。



☆コメント☆
[紅奈] 03-13 23:11 削除
あとがき的な。
投票の全部の内の現代パロをCP指定がなかったので政佐で書きました。
風邪を引いた政宗と看病をする佐助の話。風邪引いても佐助に言わない…そんな甘え下手な政宗って絶対可愛い(笑)
かなり弱々しい政宗になってますが、皆様のお気に召すと幸いです(*^^*)

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