03/07の日記

22:01
スパアン(甘)
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「こ〜んな所に居た。探したんだよ?」
「……アンジュ」

束の間の自由時間。街の中心から外れた人気のない草原。暖かな日差しに身を任せうつらうつらとしていたスパーダの耳に届いた聞き慣れた優しい声に眼を開ける。

「おはよう」
「……おう」

ふわりと微笑まれ、スパーダは未だ覚醒しない頭でぼんやりと返事をした。

「お昼寝?」
「あ〜気付いたら寝てた」

ふあ、と欠伸をして上体を起こしたスパーダにアンジュはくすくす笑って隣に腰掛ける。

「葉っぱ」
「ンあ?」
「付いてる」

何時も被っている帽子のないエメラルドグリーンの髪に付いた葉を取りながらにこりと笑む。

「サンキュ」
「どういたしまして」

少し照れくさそうに礼を言うスパーダに、更にアンジュはくすくす笑った。

「あ〜……で?何だよ、探したって」

居心地が悪く話題を変えるべくスパーダが言った。

「別に大した用事じゃないの」
「じゃあ何だよ」

アンジュの返事に訝しげに首を傾げるスパーダ。
緩やかに風が吹いて二人の髪を揺らす。

「一緒に居たかっただけ。……って言ったら、貴方は信じるかしら?」

緩やかに風が吹く。
相変わらずにこにこと笑んだままのアンジュに、暫し驚きで言葉を失ったスパーダだったが、直ぐに彼らしくニィ、と口角を上げた。

「確かに、大した用事じゃねーな」
「あら、何だかそれじゃあわたしはお邪魔だったみたいな言い方ね」

一転し頬を膨らませ拗ねた様にアンジュが言うので、今度はスパーダがクツクツ笑い肩を揺らした。

「ンなわけねーだろが。わざわざ探してくれてサンキュ。すっげー嬉しい」

アンジュの手を取り甲に軽く口付けたスパーダに、アンジュは若干驚き頬を染めた。

「随分と馴れてるご様子で」
「これでも生まれはいいんでね」

その反応に満足しスパーダは手を離すとアンジュの膝を枕に寝転がった。

「なァ、膝枕してくんねェ?」

アンジュの蒼い髪に手を伸ばし灰紫の瞳で見詰めて言うスパーダに、アンジュは肩を竦めて見せた。

「聴く前にもうしてるじゃない。全く、育ちは若干問題ありな様ね」
「いいじゃんかよ。俺がそのまま貴族やってたら今頃アンタには会えなかったと思うぜ?」

文句を言えど、アンジュが拒むことはない。
スパーダは年相応な無邪気な笑みでアンジュに返す。

「な?」
「……そうね」

緩やか風に吹かれ、二人の表情は負けず実に穏やかで暖かだった。



☆コメント☆
[紅奈] 03-07 22:56 削除
あとがき的な。
スパーダって、甘え下手っぽいイメージだけど、甘えたにするとそれはそれでいいですな!←←
お姉さん、みたいなアンジュの雰囲気にも癒されます。スパアンって一度で二度美味しいです(*^^*)

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