イツメンと異世界道中?

□その1
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速く隠れて


そう言おうと口を開いた瞬間に、けたたましい音を立てて向かい側の扉が開いた

私たちをさらってから何か不都合なことでもあったのか
はたまたオークション会場へ移動する為に急いでいるのか…

どちらにせよ冷静さを欠いていてくれればここから逃げやすくなる


ねこ「深翠…」
深翠「大丈夫、どうにかする」


相手をどうやって煽ってやろうかと、隅に隠れる彼女が死角になるように立った

あまり意味は無いかもしれないが、少しでもこの子へ手を出されないように、これもせめてもの抵抗である
あれこれ考えながら前へと意識を戻すと、あらあらしく扉を開けた割にゆっくりとした歩調で相手が近づいてきているのが分かる


・・・焦っていたのではなかったのか?
機嫌を損ねていたのでは…?



不思議に思いつつも、閉じ込められている檻を掴む


それと同時に前からゆったりとした口調で声がかけられた



ホンゴウ「怪我、してねぇか?「来ないでください」……俺らは君らをさらった奴らとは別だ。危害を加えるつもりもない。安心してくれ」
深翠「(君"ら"・・・死角にいるねこにも気づいてる…。後ろにももう一人。これじゃ逃げられん)」ギリ…
ベックマン「・・・」コトリ🔫
ねこ「(武器をおいた…)!・・・しーすい、しーすい「ん…」その人たち敵じゃないっぽいよ」
ホンゴウ「俺はホンゴウ、医者なんだが…」


俺に君らの怪我を見させてもらえるか?


そう言った緑の髪になんとなく見覚えがある気がして、相手の顔をじっと見つめた
手を出すのは止められてるからな
はてさて、どうしたもんか
そもそも、いまここで手を上げたら、ねこが被害をこうむることになる
それだけはだめだ

どうすればこの子に被害がいかないようにこの場をしのげるか…

必死に頭を振フル回転させるが全く何も思い浮かばない
人ってピンチになるとほんまに頭真っ白になるんだな、とか現実逃避をしてみても何も変わらないのでもう色々と諦めるとする
とりあえず、医者だというからにはそれなりの知識と経験がある人なんだろう
さっきから私が言った通り一定の距離を保ったまま話しかけてくるこの男はホンゴウというらしい


なんだか聞き覚えのある名前だ、とぼんやり思っていたらいつまでたっても返答がないのを不審に思った相手がゆっくりと距離を詰めてきた


相手との距離はもう1mもない
これはもう素直に相手の指示に従った方がよさそうだ
檻から手を離して、隠れている彼女を呼ぶ
これ以上無駄な時間を割く必要もない



ホンゴウ「今出してやるから、ちょっと待ってろよ…このタイプの錠はここをこうすれば…【ガチャン】よし、あいたぞ」
深翠「ありがとうございます。…頭、殴られてるんですけど…ちょっと見て貰えますか」
ホンゴウ「おう!って、これはひでぇな・・・痛かっただろ」テキパキ…
深翠「いえ、あんまり(気持ち悪さも苦しさもなし。多分大丈夫)・・・でといで」
ねこ「うん「ねこも、見てもらいな」アタシ怪我してないよ?」


念のため、ね

そう言って手当の準備をしているホンゴウさんとゆっくり近づいて警戒している様子のねこを眺める
なんだ、自分が大丈夫って言ったのに随分と不安そうだな
なんて思ったのは自分だけの秘密
もしこれで相手が毒でも盛ってきたら終わりだが、なんだかこの人はそんなことしなさそうなタイプに見えた
確証もない直感


いつもなら信用しないそれを今日くらいは信用してみようと思う



ー手当てと救出ー

ベックマン「……ベン・ベックマンだ。お嬢さん達が目の前で攫われるのが見えてな」
ホンゴウ「んで、俺らが助けに来たって訳だ。本当はもっと早く助けに来るつもりだったんだが、ちょっとアジト探すのに手間取ってな。遅くなって悪かった」
深翠「いえ、助けていただいてありがとうございました(船医のホンゴウと副船長のベックマン。あぁ、これはまずい)」
ねこ「あぇっ…ア゙ッ…(ホンゴウとベックマンだぁあ、やば。腹筋すごっ色気やばっ)」
深翠「(ねこがオーバーヒート起こす)深翠です。この子はねこ。買い物に森から出てきたら人さらいに攫われました」
ベックマン「お前達ふたりだけでか?「あと2人います」ほぅ」
ホンゴウ「なら、連れのとこまで送ってってやるよ。医者として患者の怪我の状態も説明しときたいしな」
深翠「お手数お掛けします」ぺこ
ねこ「します…」
ベックマン「なぁに、お嬢さん達はなにも気にするこたぁねぇ。俺らが勝手にやってる事だ」
ホンゴウ「そうそう。だから、な?もっと気楽に行こうぜ」
ねこ「あぇ?」(੭ ᐕ))あぇ?
深翠「ねこ、戻っておいで…って言っても聞こえてないか」
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