短編(ネタ)

□銀の別世界
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小説ver.


カツッカツッと足音が響く。
男は煙草を吹かせながら暗い路地を歩いている。
今日も生きるためにやりたくないことをやってきた。
大切なモノを守るために己の手を汚す。
今まで何人を殺しただろう。
これから何人殺すのだろう。
自分達が生き抜くためにどれ程の屍をつくるのだろう。
こんな生活にいつまでも甘んじているわけにはいかない。
綺麗事を言うならば、これは悪いことだと判っている。
もう何年も拾ってもらった恩を組織に返してきた。
そろそろ全うなことをやってみてもバレないだろう。
その為の手は尽くしてきた。
「疑わしきは罰せよ」の言葉を残し屍を積み重ねてきた。
兄弟(兄妹、兄姉)の力を借りて生き抜く手伝いをしよう。
さぁ、恩を仇で返す準備は整っている。
ひとつのアパートの前で足音が止まった。
男はドアを開け中に入っていく。
灯りがつき、パタリと閉まる。
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