TOGf 守護の双刃
□第6話 狂気の煉獄
2ページ/3ページ
ファクトはミドラーシュのアジトを捜しながら進むが、それらしきものは見つからない。
『やはり噂レベルの情報だな……ここには奴はいないみたいだ』
諦めかけていたその時
「そんなことはないよ」
『!!誰だ!?』
突然、後ろの方から声が聞こえて振り向くと
『おまえは……あの時の情報屋……なぜここに?』
そこにはセイブル・イゾレで会ったフードの男…情報屋が立っていた。
「なぜ僕がここにいるのかだって?答えはただひとつ僕が君の捜している……」
男はフードを取り赤黒い髪が露わになる。
「ミドラーシュだからだよ」
『おまえが……ミドラーシュだと……』
ファクトは持っていた手配書を見る。赤黒い髪、年齢は20歳ぐらいの男、そして似顔絵、すべて一致している。
『やっと…やっと見つけたぞ!ミドラーシュ!親父の仇……』
「君のお父さんなら覚えているよ、これを持っていたよね」
ミドラーシュは白い刀を見せる。それは、かつてファクトの父親が所持していた。白刀・白夜であった。
「この刀は素晴らしいよ。美しいし、切れ味もいい、これまで何人の命を斬ってきたかな?」
『貴様ぁぁぁぁぁ!!親父の刀で……絶対に許さん!!』
残夜とアイアンソードを構えるファクト
「そうだ!僕をもっと憎め、その憎しみを僕に全部ぶつけてきなよ!」
『言われなくてもそのつもりだ!』
ファクトはミドラーシュに向かって行き残夜とアイアンソードを振り下ろす。しかし、白夜で防がれ、弾き返される。
『くっ!?』
ファクトは一旦距離をとる。
「どうしたんだい?君の憎しみはその程度かい?」
『まだだ!』
ミドラーシュに挑発され再びミドラーシュに向かい連続切りをするが、すべて防がれる。さらに、蹴りを入れられ吹き飛ばされる。
『はあはあ…く、くそ…』
息が上がるファクトに対し、ミドラーシュは涼しい顔で汗ひとつかいていない。すると、ミドラーシュが
「君にはガッカリだよ…君なら僕を楽しませてくれると思ったのに…もう終わりにしようか」
ミドラーシュは左手から小さな火球を放ち、それはファクトに近づいていき、目の前に来たところで
「劫火」
パチンッ
と左指を鳴らしたその瞬間
ドオォォォォォン
『がはっ』
大爆発が起き、ファクトは吹き飛ばされ、遺跡の壁に叩きつけられた。その場で倒れるファクトにミドラーシュが近づいてきた。
「劫火をくらってまだ生きてるとはね……それに免じて選ばしてあげるよ。刻まれて死ぬか、焼かれて死ぬかどっちがいい?」
『最後にひとつ教えろ……なぜ自分の情報を俺に教えた?わざわざ情報屋と偽って……』
「ああ、そのことか…最後に教えてあげるよ。ただ単に君と戦いたかったんだ」
『なんだと?』
「4年前、君のお父さんから白夜を奪った。でもそのあとすぐに君の持っている残夜を奪おうと思えば奪えた。でもね、簡単に奪ってもつまらないと思ったんだ。そこで、僕は君にある物を預けた」
『預けた?どういうことだ?』
「憎しみという感情をね君に預けたんだよ」
『!!』
「その憎しみは日に日に大きくなり君を強くさせた。違うかい?」
『そ、それは……』
「4年たってそろそろいいかなと思って、僕は君に僕自身の情報を教えたんだ。ここで戦うようにね。強くなって僕を楽しませてくれると思ったんだ」
『俺は…今までおまえに生かされていたのか……』
「そういうこと、僕が最も嫌悪するもの、それは退屈なこと、どうせならあのまま生かしておいたほうが強くなって暇つぶしぐらいにはなるかなと思ったんだけど……でも期待はずれだったね……お喋りが過ぎたねそろそろ決めてくれないかな?」
『好きに……殺せ』
ファクトはすでに生きる気力を失っていた。