TOZ 君がくれた名

□第1話 出会い
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『腹が減ったな……』


マーリンド途中にある小屋の中で茶髪の少年がつぶやく。


『なんか狩りに行くか……』


少年は食料を調達しに外へ出た。


数時間後


『まあまあ獲れたな……ん?』


少年が獲った食料を手に小屋へ戻る途中、遠目で小屋の前に何かがあるのが分かった。
近づいてみると、ひとりの少女が倒れていた。


『(生きているのか?)おい!大丈夫か?』


少年は倒れている少女に呼びかける。すると


「う……う……」


〖生きているがひどい傷だな……とりあえず中へ運ぼう〗


少年は少女を抱えて小屋の中へ入り、少女の手当をした。
しばらくして


「ここは……?」


少女が目を覚ました。


『目が覚めたか?』


「君は?……うっ!?」


少女が起き上がろうとすると激痛が走った。


『まだ動かないほうがいい。応急手当はしたが、傷はまだふさがってないからな』


「そうか私は……仲間とはぐれて憑魔に襲われて、傷を負ったまま逃げていた」


『それで小屋の前で倒れていたってわけか』


「ありがとう。君が手当をしてくれなかったら、私はあのまま死んでいた」


『気にするな。それより、なんか食べるか?さっき獲った物しかないが』


「ありがとう。でも、私はもう行かなくては……」


少女はまた起き上がろうとするが


『バカなことを言うな。傷が開いたらどうするんだ?』


「しかし……私がいたら君に迷惑なのではないか?」


『すぐ倒れてここに帰って来た方が迷惑だ』


「そ、そうだな。じゃあ、お言葉に甘えて」


少年と少女は食事をとることにした。その途中、少女が


「そういえば、まだ名乗っていなかったな。私はアリーシャだ」


『そうか』


しばらく間が空き


「……?」


じっと少年を見るアリーシャ


『どうした?』


「いや、君の名前はなんなのかと思って」


『名前?ない』


「えっ!?」


『俺は記憶がなくてな……自分の名前すら分からない』


「記憶喪失なのか!?」


『ああ。気がついたらこの小屋の前で倒れてた』


「そうか……じゃあ私が付けよう!」


『は?』


「名前がないと不便だからな……ルードはどうだ?」


『ルードか……ルード……』


「気に入らないか?」


アリーシャが不安そうな顔で尋ねる。


『いや、気に入った。今日から俺はルードだ』


「じゃあ改めて、今日はありがとうルード」


To be continued
 

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