TOL ロストマジシャン
□第1話 はじまり
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灯台の街ウェルテスの広場
『寄ってらっしゃい♪見てらっしゃい♪ジャン・クローロのマジックショーがはじまるよ〜』
黒髪、青いタキシード、シルクハットを被っている少年…ジャン・クローロがマジックショーの客寄せをしていた。
「ジャンのマジックショーだって!」
「見たい見たい!」
街中の子供から大人までどんどん広場に集まっていく。
そして、マジックショーがはじまった。
『じゃあ、まずはこのシルクハットをこのステッキで叩くと〜』
バサバサ(ハトが出てきた)
「わ〜ハトだ〜」
「すご〜い」
『僕の口元見ててください…ばあ〜』
「口からトランプが!」
『さらにこのトランプが〜でっかくなっちゃった!』
「おお〜」
パチパチパチパチ……
その後もジャンは手品を披露し、そして
『次が最後のマジックになりま〜す。最後は誰かひとり協力してもらいたいんですが……』
すると、その場にいた多くの人が手を上げる。
『じゃあ〜後ろの方のお嬢さん!』
「わ、わたし?やった〜」
指名された少女はジャンのもとに向かう。
「待て!シャーリィ!」
少女の傍にいた少年もジャンのもとに向かう。
『えっと……呼んだのはお嬢さんの方なんですけど……』
「シャーリィ…あんまり目立つなって言っただろ」
少年が少女に言う。
「でも…お兄ちゃん…」
『なるほど!お兄さんでしたか!心配でついてきたんですね?危険なマジックじゃあないですし、すぐに終わりますから』
「分かった……早く済ましてくれ」
少女…シャーリィの兄がしぶしぶ承諾する。
『じゃあ、お嬢さんこのトランプの中から1枚選んで、僕に渡してください』
「じゃあこれで」
シャーリィは1枚選んでジャンに渡す。
『なるほど〜スペードの2ですね。これを僕の両手ではさむと……ハイ!』
「わあ……」
「これは……」
シャーリィとシャーリィの兄は驚いた。
ジャンがトランプをはさんでいた両手を開くと、トランプは消えて、代わりにスペードの形をした小さな宝石がふたつ現れた。
『この宝石は差し上げます。ひとつはお兄さんに渡してください』
「ありがとうございます!はい、お兄ちゃん」
シャーリィは兄にスペードの宝石を渡す。
「あ、ありがとう/////」
『以上でジャン・クローロのマジックショーは終わりです!集まってくれたみなさんありがとうございました♪』
パチパチパチパチ……
大きな拍手の中ジャンのマジックショーは幕を閉じた。