美術館の世界(長編)
□第2話
1ページ/6ページ
『ん…ここは…?』
ゆっくり目を開くと、壁も床も真っ白な部屋にいた。
真っ白な部屋の中央には、真っ白いテーブルが置いてあり、その上にはピンク色の薔薇が花瓶に生けてあった。
そう言えば、確かゲルテナ作品にも大きな薔薇のやつあったっけ…
“精神の具現化”というタイトルだったような…
あの作品と何か関係あるのかな…
色々考えたが、私はその薔薇を花瓶から抜き取ることにした。
なんとなく、持っていなければいけない気がしたからだ。
『…あれ?いつの間にドアが…』
テーブルの向こう側に黄色のドアがあった。
薔薇に気を取られていて、気がつかなかったのかな…?
でも、こんな真っ白な部屋で気づかない筈がないよなー…
『…って、考えるだけ無駄か〜…ん?』
ドアには貼り紙があった…何々?
『“そのバラ朽ちるとき貴女も朽ち果てる”…?』
うへぇ…何これ…どゆこと…
『“バラとあなたは一心同体 命の重さ知るがいい”…か』
命…?
なんか…よくわからないなぁ…
何がなんだか分からないままだったが、私は部屋を出る事にした。