*空回りの運命線

□笑う門には福来る
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『温泉〜温泉〜温泉旅行〜』


音痴な歌が、部屋から漏れ出す
でも、そんな事は気にせず荷物をせっせと詰める

三日分の服、お菓子、歯ブラシセットに…あ!トランプ入れてない
夜に皆でババ抜きでもしよう


そう思い立ち上がる。
自分の整理されてるとは言えない机を開け、トランプを抜き取る
すると、ふと視界に入った写真

ミツバ姉との幼き頃の写真。
それを写真立てから取り出し、ハンカチにつつむ




『よし、これで全部かな?』

写真とトランプを大きな鞄の中に入れて、満足気に微笑む
すると



「そんなに楽しみですかい?」
何時の間にか、背後には総悟が立っていた
その顔は、呆れた様に半目にしている



『と言うと総悟は楽しみじゃないと』

「別に楽しみじゃねぇ訳じゃありやせんが

少し心配なんでさぁ 江戸の事が」


…あぁ。そうゆう事。
総悟は 私や近藤さんとは違って見廻り組を信頼してないのか




「俺達のいない三日間で江戸が変わってしまいそうで」


『変わらないよ。
江戸はこの国は

だって佐々木さん達がいるから』


「ソイツラがいるから心配なんでさぁ

真選組のいない間 穴を埋めるってどう見ても怪しいじゃねぇですかい
それに…『だから、変わらないって

そう信じてるから。
ほら』


そう言ってポケットに入ってある携帯を取り出し 画面を見せる


“こんばんは!

旅行楽しんできてね
お土産は、お饅頭が嬉しいお”



『ねっ?』
画面の文に呆れたかの様に目を細める
まぁ。納得してくれた様子だ



「そんじゃ、俺。
まだ支度があるんで」
そう言って襖を閉め出て行った
本当、何しに来たんだアイツは

私は画面に目をやり





“了解!

佐々木さん
江戸をよろしく!”

そう送信した
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