*空回りの運命線

□金魚の糞は切れません
2ページ/3ページ




私が、そう呼ぶと信女はむくりと私から離れる
少しの間、私の顔をその黒い瞳で見つめ 視線を左に向けた

そこには、総悟がイライラした様子で立っている







「なぜ、紅が怪我しているの」

総悟を睨みつける様に目を細くする
総悟も同じ様に赤い目を光らせる






「貴方。
紅の背中護ってたんじゃないの?

紅は、こんな頭に大怪我して貴方は無傷。
それって、貴方だけ護られて 貴方は紅を護らなかったの?」

スタスタと総悟に歩みより、躊躇なく言葉を投げかける
総悟は、言いかえさず ただ下を向いて歯を食いしばっていた













「女一人護れずに、よく第一隊隊
長って名乗れるわね」


その言葉は、総悟を怒らすには十分すぎる言葉だった
赤い目を大きく見開き、刀に手をかける
だが、






「総悟。」

冷たく尖った言葉が、総悟の手を止めた
土方は、煙草の煙を吐き出すといつにも増して恐い顔をする
その顔に、何もできなくなった総悟は、舌打ちをし刀を収めた







「本当。非エリートはこれだから困る」

さっきの客室に、一人の人影があった
その言葉は、自分がエリートかと言う様な口ぶりで、用意されたお茶をすする






『佐々木さん』

私は、そう呼ぶと
立ち上がり此方へ歩みよる




「お久しぶりです紅さん

メールしてるのに返ってこないから心配したんですよ
入院したっていう噂も聞くし

信女さんも心配して、落ち着かないんで今日来たんですけど…

話しによれば、沖田さんが護る事ができずに紅さんがこんな風になったと…
流石役立たずは違いますね」




最後の一言。
その瞬間、総悟の手は動いた

私は、急いで止めにかかる
まずい。このままじゃ…
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ