*空回りの運命線

□久しぶり
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『ミツバ姉』

俺は電車を降りて約一時間
花束を買い、紅をおぶりながら姉上のお墓を目指す

姉上の夢でも見てるであろう紅はアイマスクはもう目からずれ頭に乗っている状態だ

でも気持ち良さそうに眠りについていた




「紅」
意味もなく呟いた
もちろん返事はないが、彼女の体温は感じれる
昔は、紅の方が少し大きくておぶれなかった。でも今はおぶれている

ここでやっと自分が成長していた事を知る
彼女も成長している


"お前。そろそろ舞川から離れろ"

土方の言葉がフッと頭を横切る
本当は、そうなのかもしれない。そんな事を思う日だってある

でも、コイツがいない生活なんて考えられない
お前がいる事。それが当たり前になってきている今日この頃。

そして、たまに思うんだ
いつか別れが来るって…
姉上だっていなくなった。いつかはコイツも…








『…総悟』

パッと後ろから声が聞こえ、思考回路が閉ざされる


「起きてたんですかい」


『うん。言いにくいんだけど




お墓通りすぎたよ』

そして俺は歩いていた足を一時停止させ振り返る

確かに曲がるはずだったところをそのまま直進で来てしまっていた
俺はスタスタと戻り、何事もなかったかの様に道を曲がった






『考え事してたの?』


「そんな対したことじゃねぇ」


『ふーん』


その返事にドキリとする

その返事は、何処か俺の心を見透かされてる様で…
そんな事は顔に出さずにスタスタと歩く






『ねぇ。総悟』



『総悟にとって刀ってなに』



急な彼女の質問
でも俺は迷わず答える






「昔は憎い奴を切るためだった」



『今は?』





「大切な奴を護るため」

そう言うと、彼女は『なんか意外』と言いながらケラケラと笑い始めた

でも、その大切な奴ってアンタって事気付いてやすか
俺が戦場に立つのもお前がいるから
お前が立つから、俺は護る







多分そんな事アンタは一生気づきやせんけどね
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