*空回りの運命線
□偽りの侍
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数分間沈黙がはしった
総悟はただ私を見つめ、何か考えている様だ。
私はどこ見ていいか分からず、窓の外へと視線を逃がした
すると
キュッ
手に暖かい温もりを感じた
見ると総悟は私の手を優しく握っていた
…あぁ。そうか
私はこの時ようやく気づく事ができた。
『怖かったんだね。』
自然と総悟の頭に手がいく
撫でると総悟は手を強く握り返した
ミツバ姉みたいに私もなっちゃうんじゃないか
そう思ってたんだよね
「…止まるかと思いやした
紅が刺されたと聞いた瞬間。
何も考えられなくて
心臓が止まりそうで
あの餓鬼をぶち殺してやろうと思ったんでさぁ」
うんうんと頷いていると、私に総悟を覆いかぶさってきた
さっきよりも強く力一杯抱きしめられる。
でも、その肩は震えていた
「生きててよかった」
安心した様に笑う総悟の頭を撫でる
よくミツバ姉がやってくれたみたいに優しくなでた
『ごめんね』
そう微笑むと
どことなく煙草の臭いがした