*空回りの運命線

□偽りの侍
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ゆっくりと目を開いた

白いタイルの天井が目いっぱいに入りこんできた
むくりと起き上がると右胸に激しい痛みを感じ顔を歪めた




「紅さん!」

ビクリと肩がはねる
自分一人だと思っていた室内には丸い椅子に座って此方を見る山崎がいた



「よかった…
ずっと目覚まさなかったらどうしようかと」

ホッとした様子で胸を撫で下ろす山崎の姿に、自分が今いる状況を確認した


…ここは病院か

服も清潔そうな薄い青に変わり胸には包帯が巻きつけられている

私、刺さられたのか…
んっ?刺された







『山崎!ヤマテ君は!?』

目を見開きながら、山崎を見つめる。
少し驚いた顔をしたがすぐにいつもの可愛らしい顔に戻した



「安心してください

ヤマテ君は、今事情聴取中です
副長と隊長もそこに居ます


幕府には 荒手の攘夷志士にやられたとそう伝えておきました」

その言葉を聞いて 顔の表情筋が一気に緩んだ
そして 窓の外を見ると 満月がでていた。
今は、9時 あれから4時間も寝ていたのか

そんな事を思っていると


ガラガラッ



と病室の…





「紅!
大丈夫かァァァァァァ!!」

荒くドアを開けて近藤さんは、私を抱きしめた
涙を流しながら、私を力一杯抱きしめる





『こ、近藤さん
少し痛いや』

苦笑いを浮かべる私に、慌てて近藤さんは離れる
涙目になった目をゴシゴシとふく近藤さんを見つめていると その後ろで気配を感じた








『ヤマテ君?』
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