*空回りの運命線

□笑顔の裏をなめちゃいかん!
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「あの…紅さん」

ニヤニヤと笑ってる紅さんにおずおずと話しかけた
さっきヤマテ君を家に帰してから、様子がおかしい
さっきから、ずっと面白い訳でもなく笑っていて気味が悪い



『あのさー山崎

かっこいいだって、憧れだってー』

「は?」

頬をおさえながら、ニヤニヤを倍増させて言う
もう紅さんの頭には花が咲いているのが幻覚で見えて目をこする




『さっきヤマテ君が、そう言ったの
紅さんは、かっこよくて僕の憧れです!ってさー』

浮かれてる紅さんに、ハハッと冷たく笑うと視線を下に下ろす



…やっぱり言わない方がいいのだろうか

「あの餓鬼には気をつけろ」
俺もそう思う
でも、紅さんはヤマテ君の事が好きみたいだし
もしかしたら、俺がただ睨まれたからそう思ってるだけかも知れないし…


でも、子供があんな殺気のある視線をつくれるものだろうか
絶対に危ない…





「あの!紅さん!!」


『なーに?山崎』
ニヤニヤとしながら、俺を見る紅さん。
俺は生唾を飲み込み口を開いた




「や、ヤマテ君には気を緩めない方がいいですよ!!」



『えっ?』

俺の飛び出した言葉を理解できないのか眉を曲げる
さっきまでニヤニヤとしていた紅さんは無表情へと変わった



「ヤマテ君には気をつけてください!!
隊長も言ってたんですよ!
危ないって

だからだから『ちょ、ちょっと山崎 何言ってんの』

苦笑いしながら、俺を止めるがその目は笑っていなかった。
どう見ても戸惑っていた




『ヤマテ君は、いい子だよ
山崎だって見てて思わなかった?
礼儀ただしいし、可愛い子じゃん』


「本当にそう思っているんですか?」


『え?』


紅さんは、目をおよがせる。
でも、俺は肩をガシッとつかみ目を合わせる
真剣に、俺の気持ちが届く様に





「あの子は、そんな大層な子じゃありませんよ
信じちゃだめです

言葉に騙されちゃいけません
表情に騙されちゃいけません
行動に騙されちゃいけません
相手の目を見るんです
目のまたその奧の黒い部分を

監察だからこそ言えるんです!
俺を信じてください」



『…っ


わかんないわかんない!!
そんなの違う!

ヤマテ君は私に笑ってくれた顔は間違いなく本当の「紅さん!!」


『離して!!』

紅さんは、俺の手を振りほどき走って行ってしまった
俺はそこに取り残されたまま紅さんのいなくなった方を見つめた


…なぜあそこまでヤマテ君をかばうのだろうか
なにかあるはずだきっと
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