*空回りの運命線

□恋は負け?それとも…
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『ひじかたさん!』








あぁ。また呼んでる


無邪気に笑うソイツの顔は、何故か俺も微笑んでしまう

でも、
これはただの小さい子を微笑ましく思うだけの行動であり、
そんな感情なんて持ち合わせていなかった



ただ。小さい妹ができたみたいで嬉しかっただけだった。
俺にも護れる者ができたみたいで…











でもソイツは段々成長してきて
誰かさんに似たのか…可愛げのない性格になってしまった




昔の
『ひじかたさん!』が今では


『土方…あっ、土方さん。』やら、上司に対する礼儀がなってない奴に早変わり…
昔に戻してほしい。












『土方さーん?
何考えてるんですかボーッとして?
愛しのキュピーとのデートプランでも考えてたんですか?

あの。こんな事言いたくないんですけど…










キュピー男ですよ?』


目の前で、肘をつきながらニコッと笑う。
そのニコッがワザとらしくて腹が立つ。





『土方さん?』

いつもみたいにツッコんでこない俺を見て、不思議そうな顔をする











『あっ、もしかして私に見とれてました?』








「んな事あるわけねぇだろォォォォ!!」



殴ろうと手を振り上げる
もちろん。ツッコミぐらいの加減なのだが



でもコイツは、目をつぶって頭を押さえる。
その姿に胸が痛む






俺。怖がられてるんだな…


そんな事を思うと胸に何かが刺さる












クシャ








俺は殴ろうとした拳を緩めて、奴の頭を撫でる
何故俺はこんな事したのか分からない
だけど…












『土方さん…?』










「今回だけは、許してやる」


ぶっきらぼうに奴に言うと、俺は顔を背ける
もう、奴の顔は見てられなかった。


何故か恥ずかしい気持ちで一杯で、こんな感情になっている自分が気持ち悪くて…











『やっぱ、今日の土方さんは可笑しいです』



ヘラッと笑うソイツの無邪気な笑顔は、俺の何かを動かした。














その何かに気づくまで…

俺の負け?
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