*空回りの運命線

□黒と白
1ページ/6ページ






カタカタッ





靴が床をたたく音が廊下に響く

真選組の屯所とは違い
白い壁に綺麗な建物。ここは、見廻り組の署。
私は、パトカーではない黒い大きな車でここまで連れてこられたのだが、何もかもが真選組とは大違い。





「さぁ。紅さん

どうぞ」

佐々木さんが、一つの部屋の前で立ち止まる
付き添いの隊員が、丁寧にドアを開けお辞儀をする
なんて優秀な部下だろう…

それにくらべ奴らときたら。
頭の中にギャアギャア叫びながら宴会をする隊員を思い出す




「ほら、紅
入るよ」
信女は、私の腕に絡みつきながらグイグイ引っ張る


部屋の中は土方の副長室より二倍くらいでかく、クーラーの涼しい風が髪をなびかせた








『…マジでか』

何回か、相談されたが ここに来るのは初めてで
まさかここまでの差はないとは思っていたが…
クーラーのきいた部屋に、大きな建物。そして机に並べられたショートケーキ。

ここまでの費用がかけられているという事は、上から信用されていると言える
私達の屯所は、木製で床はギシギシと音が鳴る。
という事は、全く信用されてないし 必要とされてないと思ってもいい。



私が唖然としていると







「どうしたんですか?

どうぞ座ってください」

佐々木さんの声にハッと我を取り戻す
こ、こうなったら、 真選組も負けてない事を見せつけないと…!

グッと拳をつくり、大きなソファーに腰をかける
信女は、私と腕を組んだまま横に座り、私の肩に頬をすりするとする




「どうぞ」

私の横に立っていた隊員が、ストッと私の前に何かを置く












…負けた
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ