*空回りの運命線

□久しぶり
1ページ/5ページ





ガタンッ


と電車は揺れた
私は、病院から退院すると近藤さんにお願いして二日休みをいただいた
総悟も一緒に…


私は窓の外を見た
もう、真っ暗で空には月が輝いている
昼に屯所を出たというのに電車を乗り継いでたりして、もうこんな時間になった
武州までは、後二時間かかる
乗客は、少なく
皆もう寝ている様だ

横ではアイマスクをつけながら、総悟も私に寄りかかりながら寝ている
そんな総悟を見ながら、私は写真を取り出した



昔、ミツバ姉と総悟と私で撮った写真だ。
三人は、満面の笑みを浮かべていた 幸せそうに
私は、写真をしまうと 余韻に浸っていた。




そんな時、私の鞄から携帯の鳴る音がする。
私は 誰も起こさぬ様に急いで携帯を取り出した。
寄りかっている総悟をソッと寝かせ 私はトイレの中に行った




『もしもし。』

「おぉ 紅か
夜遅くにすまんな。まだ、そっちはついてないのか?」

久しぶりではないけど、耳元からする近藤さんの声に安心する
暖かくてホッとする様なその声に返答した



『まだ、電車の中です
どうしました?そっちで何かありましたか』


「いや、そんなんじゃないんだが

少し紅に聞きたい事があってな…







紅 トシと何かあったか?」


『…土方さんと』

それから私は、黙った
そして 少したって誰も居る訳でもないのに笑顔を浮かべて 『なんでもないですよ』
そう言った


「そうか…

いや、この頃トシの様子がおかしくてな。もしかしたら、お前かと思ったんだが

すまなかったな!
勘違いみたいだ そんじゃ、おやすみ」

『はい おやすみなさい』

ブチッと通話が切れた音が聞こえ、その瞬間壁に寄りかかる



…土方さん
この前の出来事が、頭に浮かんだ
あれは、一週間前の病室での出来事だった
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ