*空回りの運命線

□本当は優しい君
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“行かないで
独りにしないで…”





『なんなんだよ…コレ』

もうあたりは真っ暗になって、屯所も静まり返る
そんな屯所の一室。副長室で俺は額に手を当てながら呟いた

たまに入ってくる少女の悲しい叫び
これは舞川の記憶…?
この少女は一体誰なんだ
何故こんなに悲しそうに



『ーチッ』
頭を整理づけるために襖を開け外に出る。
サワサワとやさしく吹く風にあたり月を眺めた



ズキリ

胸が痛んむ
月を見た瞬間、俺の心いや舞川の心が激しく脈をうち始めた


『さみしい…』
何故か急に出てきた言葉。
月を見て初めて寂しいと思った
アイツはいつもこんな感情だったのか


「こんな夜遅くにどうしたんですかい?」
俺はビクッと肩を震わし振り向く。
そこには、いつもと変わらない総悟の姿があった


『別にただ風にあたってるだけだ
そんなお前こそ何してんだ』

「俺もそんなとこでさぁ」

そう言って総悟も月を見上げた
コイツは俺とアイツが入れ替わった事に関してどう思っているのだろうか?
いつもなら、入れ替わった事に対して餓鬼みたいに怒って掴みかかってきそうなコイツがいつにも増しておとなしい


「…土方さん


俺ァ 本気ですぜィ」
急に放った一言がそれか…
何に対して本気なのか もう分かってる


「俺ァ
アンタにも旦那にも誰にも紅を譲る気はありやせんから」

そう言って俺に背を向け、屯所の中入って行った
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