*空回りの運命線

□綺麗な花火と君の香り
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『うひょー!』

満面の笑みで屋台のおっちゃんから綿あめをもらう君に つい笑みがこぼれた
美味しそうに頬張る君は昔と変わらない

だからつい
「本当、餓鬼ですねィ」
そう言ってしまった

あぁ。また怒り始めるな…
なんて思っていた俺だが、紅は立ち止まってジッとコチラを見つめる
その視線がなんかこっぱずかしくて 頬をポリポリとかく


「紅?
何考えてんのか分かりやせんが
ボーッとつっ立ってないで行きやすぜ」
そんな事を呟き、スタスタと歩く。紅は歩いていく俺に驚き、すぐ横に並ぶ


ヘナヘナと笑いながら綿あめを食べる君を横目に俺は歩く

…9年間でここまで変わるもんなんですねィ
身長も 子供っぽさも体格も…性格は変わりやせんが

昔は、軽々繋いでいた手も今では近いようで遠い…届くようで届かない。
硬く握った拳をほどく事のできない俺は臆病者ですかい?
土方や旦那…山崎にまで嫉妬してしまう俺は馬鹿ですかい?醜いですかい?


ドンッ
俺は誰かとすれ違い際に肩がぶつかり我にかえる

…場は静まり、せっかく誘えたのに楽しいムードではないのは誰が見ても分かる
そんな時、目に入ってきたのは赤 白 黒 様々な金魚の絵が描かれている屋台


「おい!紅
あれ見ろィ!!」
そう言って紅の腕をグイッと掴み、屋台を指差す

『金魚すくい?』
紅は少し呆れた表情をしたが、そんなのお構いなしに水槽の前にしゃがむ。



そんな時

「ほぉー
仲良くデートですか?
いいねぇ リア充は‥」
憎たらしく言う声は、振り向かなくてもわかる…

『ぎ、銀ちゃん!』
やっぱり‥
あからさまに、嬉しそうにしてんじゃねぇよ。
ムカつく


「あ"ぁ!お前は」
急に聞こえてきた声に、ため息が漏れる
せっかく紅と来たのに、何故こう邪魔ばっかり



「お前、こんなとこで何してるアルカ!!」
そう言うとチャイナは俺の胸ぐらを掴む
俺は嫌味たらしい顔でチャイナを見る


「何してるって?
そんなもん見れば分かるだろィ
そんな事も分からないなんて飛んだ馬鹿ですねィ」
そう言ってニヤッと笑う
すると、その言葉がチャイナの怒りに触れたのだろうか、顔を真っ赤にして
「決闘しろクソサド」とほざいてきやがった


俺は屋台のグラサンのおっちゃんからポイを無理矢理奪うと、金魚を次々とおわんの中にほおりこむ
負けじとチャイナも水しぶきをあげながら金魚を取る


「ち、ちょっとーお客さん?」
慌てた様に俺達を止めようとする屋台のおっちゃんなんかソッチのけでバンバン金魚をとっていった



紅が何処か行ったきり帰ってこないとも知らずに…
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