*空回りの運命線

□そういえば…
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「本当 馬鹿やりやすねぇ」

雲一つない炎天下。
江戸の町を巡回しながら 総悟は呆れた様子でコチラを見る


「姫様が必死にうったえなきゃ今頃、牢屋の中でさぁ」
そう言いながら、さっき買った団子を口にいれる。

『本当。もうちょっと、感謝してほしいもんだよ
こっちは、クビになるの覚悟で姫様の願い事叶えたのにさ。
もうちょっとで牢屋の中なんてさー』

そんな事を言いながら歩いていると、向こうから子供が笑いながら走ってくる



「おかあさーん!
ねぇ、コレ見てよ!!」
そう言って、電信柱を指差した
そこには、大きな花火の写真と大きい文字で“江戸大祭り”と書かれている紙が貼ってあった


「ねぇ!
明日行こうよーお願い!!」
そう言って手をお母さんに合わせると、お母さんはしょうがないわねと男の子の頭を撫でた




『お祭りねぇ…』
マジマジとその紙を見る
日時は明日の夕方から。
八時からは花火が打ち上げられるとか…


「昔も今も変わりやせんねィ」
急に呟いたその言葉の意味がわからず、総悟を見つめた

「よく行きやしたね一緒に」
そう言って、コチラを見る。
そういえば行った記憶がある。

綿あめ大好きだったな…
村のおじちゃんが割引してくれてたくさん食べたっけ





そういえば
あの約束もあの時に…


「どうかしやしたか?」

『あっ!いや、何でも』
そう言ってハハッと顔を引きつらせながら笑う



「なぁ…紅」

『何?』
歩き出した総悟の横に並んで、問う。




「…今年も行きやしょうか
夏祭り。」

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