*空回りの運命線
□月夜の晩
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「おせぇ」
ポツリと呟きながら、頭をガシガシとかく。
もう、月もとっくに高く登っているのに アイツは帰ってこない。
誰にも行く場所をつけずにコッソリ出かけて行ったソイツを待って何時間たったのだろうか。
もう、激辛せんべいもなくなり
ただボーッと外で待っていた。
「何やってんだ。」
急に背後から声が聞こえた。
振り向かなくても分かる ヤツだ。
「土方さんも
こんな遅くに、俺に何か用ですかい?
それとも、俺と同じ理由でここに来たとか」
目端で、土方を見るが動揺もせず煙草に火をつける。
「別に、俺はお前みてぇに過保護じゃねぇ。
ただ煙草吸いに来ただけだ」
そう言って煙をはく。
上手く理由をつけたつもりだが、屯所でも吸えるモンをわざわざ外で吸うなんて変だ。
俺にはお見通しですぜィ。土方さん。
アンタが、俺よりもずっと過保護な事くれぇ。
知ってやすぜィ。
アンタが、俺よりも長くアイツの帰りを待っていたことくれぇ。