翠の黒髪

□第7Q
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木吉の手術が成功したと連絡が来た
チッ、成功かよ
って思う自分と
また木吉のプレーを見れると思い、嬉しく思ってる自分もいて
俺は盛大に困惑した

こんなの俺じゃねぇ

その数日後
木吉から電話がかかってきた
内容は、暇だから遊びに来て欲しい
だとよ
今は車椅子で生活しているらしい
俺と同じかよ

俺は木吉から送られてきた住所を見ながら、進んで行った
着いたのは、古い日本家屋だった
完全に木造だ

俺はインターホンを1回押した
「あ!花宮!来てくれたのか!」
キュルキュルと車椅子を動かす音が聞こえる
木吉は俺の後ろにいた
木吉の膝の上にはスーパーの袋と思しき物がある

「こっちだぞ」
そう言われて俺は家の中に入った
「元々じいちゃんとばあちゃんの為に、バリアフリーにしてあったのがよかったんだ」
ニコニコ笑いながら手をせっせと動かす木吉は
妙だった

俺の右腕はまだギブスをしているから、電動の車椅子を使っているが
木吉の両手は健康だからな
こりゃ筋肉つくぞ

なんて思いながら
俺は木吉の後ろについていった

ついたのは木吉の部屋だった
「で、何すんだよ」
ムスッとしたままそう言うと、木吉はヘラリと笑う
「特に何もないぞ?
花宮と一緒に居たかっただけだからな」

コイツ
気恥ずかしいことをサラッと言いやがって
天然か?
いや、木吉は意外と策士だからな

「花宮が学校とか監督とかで忙しいのはよく分かる
けど、こうやって休む時間も必要なんじゃないのか?」
目の前に温かい緑茶と、どら焼きが置かれた
俺は何も言わずに茶を啜った

俺、これ嫌いじゃない
どら焼きの甘さも溶かしてしまうような
苦味と旨味を持ったお茶

「あ、それとな」
木吉はこれまたニコニコ笑いながら話し出した



はぁ
現在時刻
8時過ぎ
結局木吉ん家で夕食までご馳走になった
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