Dream

□あと10センチ
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今日は最悪な日だ。

とうとう来てしまった日直の日…!

皆さんは当たり前の様に日直の仕事をこなしますよね。

まぁ、全員に回ってくるものだから仕方ないですよね。

でも、私にとっては苦痛な1日。

日誌を書くとかは別にいいんです。
日誌なら喜んで何ページでも書きますよ…。


しかしながら壁は高い…!


黒板消しという仕事が!ある!



「…くっ!」


身長が低いことをこんなに悔やむ日なんてこれからあるのだろうか…。


よいしょ、よいしょやっても届かないものは届かない。


「…届かない。」


思わず口に出してしまった。


「…いつまで黒板消してるつもり?」


普段は全く話さない月島くん!
背が高い!


「あ、黒板の上の方が届かなくて。」

呆れた表情で見られると少し怖気づいてしまう。


「それ、貸して。」


そういうと、ひょいと私が持っていた黒板消しを奪った。


月島くんは仕事が早かった。


「月島くん!ありがとう!私も月島くんみたいな身長が欲しかったなー。」


背が高い人を心から尊敬した。


「そう?別に背が低ければ他の人に頼めばいいデショ?」


正直その発想は無かった。


「そっか!でも、私背の高い友達あんまりいないや…。」


周りの友達を頭の中で思い出してみる。
…やっぱりいない。



「…いるけど?」


真っ直ぐな眼差しでみてくる。


「え?」


その瞬間、月島くんの顔がぐんっと私に近づいてきた。

そして耳元で囁いた。



「僕とかね。」



ニヤッとしていなくなった月島くんはズルい。

背が低くて良かったなんて、思ってしまった。



これは恋だ。


(君専属っていうのもいいかもね)







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