Dream

□ヤキモチ
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今日は、私の彼氏の孝支が家に来ています。

だけど私はすごーく暇なんです。

なんでかって?


「孝支くんお人形で遊んでー!」


キャッキャと騒ぐ我が妹。


「ちょっ!抱きつくなってー!今遊んでやるから!」


そう言って、手に人形をはめる孝支。



むー・・・。
私は非常に、非常におもしくない。

私だってかまって欲しい。

でも口で言ってしまったら負けのような気がして、無言で睨んでみる。


(気付け!察するんだ!可愛い彼女をかまえ!)


ふいにこっちをみた孝支。

やっと気付いてくれたと嬉しくなったのもつかの間・・・


「名前の顔怖いぞー笑」


なんてニコニコして言ってくる始末・・・。


孝支の笑顔は大好きなの。
本当に天使だと思う。
だけどね、今だけは悪意があるとしか思えないよ・・・。

はぁ。誰のせいでこんな顔になっているんだ。
私の心は曇り模様ですよ。まったく。



そんな私を置いて孝支と妹は人形ごっこを始めていた。

その風景がなんとも微笑ましいやら。


完全に妹の友達じゃん笑


なんだか、二人からお花が出ているように見えてきて自分の頭が末期なんじゃないかと心配になってきた。


私の想像では、うふふあははな内容だった。


うん。


妹のセリフで現実に舞い戻ったんだけど。



「私はあなたの事が大好きなのに!私じゃだめなの!?」



・・・!?


なんてこった修羅場じゃないですか!
お花どこ消えたのよ!?(妄想)
我が妹やりおる!!



ツッコムことがありすぎて私の頭はお花畑から一転。


それに、孝支がなんて言うかも気になった。


やっぱり好きだよとか言っちゃうのかなー?


遊びの中とは言えなんか嫌だなーって思っちゃうわけ。


うわー。相手は妹なのに!私の心狭い!



ドキドキしながら孝支の言葉を待つ。

私は孝支の背中を見つめた。


やっと孝支が人形を動かし始めた。


「ごめんね。僕には好きな子がいるんだ。」


・・・。

私の予想はあっけなく外れてしまった。

いや、少し嬉しいんだけど。
(妹よごめん!)


「それって誰よ!」


完全になりきっている妹・・・。

待っていたかのようにセリフを言う。


「それは・・・」



チュッ



気付けば私の目の前には、孝支が持っていたクマの人形がいた。


「この子が好きだから。」


そういった孝支の顔はいつも通りニコニコしていて、反則だと思った。


いきなりの事に固まっていた私はそっちのけで
妹がいきなり大きな声を出し始めた。


「あー!もう!孝支くんはお姉ちゃんが大好きなんだからぁ!」

呆れた表情の妹。


「ごめんな。だって可愛い彼女だしさ!」



そんな会話が続いていて、私は消え去りたくなった。
妹はこのことを親にちくるのではないだろうか・・・。
そう思うと少し怖くなった。


「邪魔者は退散しますよーっだ!」


べーっとしたを出したかと思ったら颯爽と部屋から出て行った。




「・・・。」


一気に静まった部屋。

先に口を開いたのは孝支だった。


「ごめんな。かまってやらなくて。」


!?


いきなりのキス(人形だけど!)のことを謝るのだと思ってびっくりした。


「ホントは初めから気付いてたんだけど、名前が拗ねてるのが可愛くてさ。」


全部気付かれていたのか・・・
さすがいつも部員のこと見てるだけありますね・・・
観察眼!!!


「孝支気付いてないと思った。おこなんだから!今すごい怒ってるんだから!」


今日、家にきてから孝支がずっと私の反応を楽しんでいたんだと思ったら今度は怒りのボルテージが上がった。


「あらら。どうしたら許してくれんだよー。」


困った顔をしながら私の顔を覗いてくる。



「しーらない!」


本当は許しても良かったけど、私も孝支を困らせたかった。


「あ。」


いきなり何かを思いついたかのような声を出したから不意に上を向いた。



チュッ



「これでどーだ!」



子供がいたずらをした時のようにヘヘヘッと笑う孝支。


「///あ・・・いきなりはずるい!」


顔が熱くて、でも嬉しくて。


「あのさ、俺も言いにくいんだけどさ・・・」


「なに・・・?」


「自分でやったんだけど、クマの人形に嫉妬してました!」


ええええええ///


  君には勝てない



(さっきのはクマの分を取り返しただけだから、もう一回♪)










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