Dream
□背中
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私は今、いたって真面目に授業を受けている。
そう。誰よりも真面目に…。
いや、やっぱり嘘。
前の席に座っている西谷くんにばっかり目がいってる。
黒板なんて見てないし、先生の声だって遠くから聞こえてくるかなって感じ。
誰だって好きな人が視界に入っていたら見つめてしまうでしょう。
もちろん私だって例外じゃない。
なんか、こう、見つめてるとやっぱり西谷くんも男の子だなぁって思う。
たくましいなぁって。
私は完全に自分の世界に入っていた。
「…おい。名前?」
話しかけられてハッとしたのは多分すぐ。
パチンと西谷くんと目が合った。
真っ黒でパチクリした目がこっちをみてる。
それだけで胸がすごく騒がしくなって顔に熱が集まっていくのが分かった。
それと同時に前を向いてるのが私だけだという事にも気付いた。
先生が後ろの壁に貼ってあるポスターを見るように促したらしいのだ。
私はすごくすごく恥ずかしくなって下を向いた。
(西谷くんを見てたことバレてないかな…!)
そればっかりが頭にあった。
そんな私をよそに西谷くんはいつもの様にニカッと笑った。
(心無しか顔が赤い…?)
前を向き直した西谷くんはまたこっちをチラッとみた。
「…そうやって見つめんの、俺だけにしろよっ!」
頭の中は貴方でいっぱい
(ずっと前から俺のこと見てるって気付いてたけどな〜)
(えぇ…!)